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詰みゲー!  作者: 甲斐柄ほたて
第四章 月、地平に沈む
125/141

4-37 凶の報せ

†††4-37



ミリアが屋敷を去った一週間後。つまり屋敷の中で一ヶ月以上が経った頃。

道場にて。



「こんなものか!ジョン!」

「まだまだァ!」


ジョンとシャープが槍を突き合う。ぶつかり合った槍ががんがんと音を立てる。途切れることなく突きを繰り出すジョンの槍をシャープは流れるような捌きで受け切った。


(ミリアがいなくなって動揺するかと思っておったが、結局は杞憂だったか。ここに来たときにあった暗さまでもが消えている)


ぱっ、と槍を持つ手を離して、ジョンが前に出る。シャープは間合いを取るために跳び退いて距離を取った。槍は間合いはあるが逆に詰められると弱い。


(迷いもない。これもやはりミリアのおかげだろうな。あの子と日々を穏やかに過ごして心に余裕ができたのだ)


距離を取りながらいくつもの突きを繰り出すシャープに対して迷わずに距離を詰めるジョン。猛スピードで突っ込んでくるジョンにシャープが槍を突き出す。

が、ジョンはひらりと紙一重でそれを躱し、シャープの目の前に裏拳を

寸止めした。


「・・・・・・よくやったな、ジョン」


ジョンが照れて薄く笑みを浮かべる。ジョンは以外に照れ屋だ。


「だが、やはりまだまだ」


そのとき、ジョンはようやくシャープの槍の尻が自分の喉元に突きつけられていたことに気づいた。



***



ミリアが屋敷を出ていってから一ヶ月の間、ジョンはやはり修行漬けの毎日を送っていた。食事、風呂、睡眠とわずかな自由時間以外はずーっと稽古である。

それでも未だに『譜<スペル>』は何一つ扱えるようにはなっていなかった。

仕方ないのでシャープは体術の稽古を少し増やした。ただ強引に練習量を増やせばいいという問題でもないからだ。


その日の午後は平野で馬上での戦闘訓練を行っていた。

ジョンは馬に乗りながら槍と剣を振り回している。まだ少しバランスが取りづらいようだ。

シャープは遠くからジョンが苦戦している様子を見守っていた。


(まだレインに頼んだ「例のアレ」は来ないのか・・・・・・。いくらなんでも遅くはないか・・・・・・?まだ時間はあるが、このままではジョンが仕上がるのよりも先にブリッジで戦が始まってしまうぞ)


などとシャープが思っていた矢先のことだった。


ばん!


大きな音とともに、裏庭から平野への門が乱暴に開けられた。そこには目を血走らせたロベルトが立っていた。



†††

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