1-17 VS女魔術師⑤
†††1-17
俺は彼女の『瞬間移動能力』で約五百メートル上空から急降下する羽目になった。さっき、俺が突き飛ばされて下げた足の下から空中へとつながっていたのだろう。
つまりは道から空に落ちたわけだ。笑える。
「なんだとおぉぉぉ!!」
側で同速度で落下する少女は涼しい顔で腕組みなんぞしてやがる。
「てめえぇぇ!どおぉいうつもぉりぃだぁ!」
何か言う度に口にすさまじい速度の空気が入り込んで話しづらい。
「こぉうさぁんしたぁらあ?」
それは向こうも同じらしかったがちょっとおかしな顔になっていた。憎たらしいがそれでもまだかわいい。
俺はやたらめったらびゅうびゅう言う風の音を聞いているうちあることに気づいた。
「おぉい!おぉまぁえ!」
何よ、と少女が眉をひそめる。
俺は黙ってローブを指さした。強風の元でスカートみたいなローブがどうなるかなんて説明は要らないだろう。
少女はローブを押さえてより怒った無表情になった。怖い。
少女は無言でいる。もしも俺がこのまま何も言わなければマジで落としてしまうかもしれない。
さすがにそれはまずい。俺は死ぬなら雪山での凍死と決めているのだ。高所からの落下なんてもってのほかだ。
「わぁかったぁ!おぉれぇのォ、まぁけだぁ!」
†††