4-27 姫の心中⇄
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「ミリアと友達に・・・・・・ねえ」
クラリスに秘策を授けるとベンはすぐに仕事に戻っていった。部屋に一人残されたクラリスはお茶をゆっくりと飲み干し、ポットからもう一杯分のお茶を注ぐ。
隣の部屋には使用人が待機しており、呼べばそのようなことでも喜んでやってくれるが、クラリスは一人で過ごす時間が好きだった。静かに考え事をしたいタイプなのだ。
(さっきは王様の命令について、『勇者は役に立つから』とか曖昧なこと言うたけど、ホンマはちゃうんや)
姫が一杯、茶をすする。
(父上はホンマは東狼団と仲良うしたいんや。なんせ強いしな。味方にすれば心強く、敵に回せば厄介ってヤツや。・・・・・・けど、大っぴらに仲良うはできん。国民の中には奴らに家族を殺された連中もおる。昔の話、では片づかんのや)
姫が伸びをして椅子の背もたれに体重をかける。
(ここで勇者の出番や。まだ従軍してへんけど正式に国軍に加わったら、勇者ははっきり言うて、国軍でもあり、東狼団でもあり、それでいてどちらでもない。正に微妙な存在や。あいつを上手く利用すれば、東狼団っちゅうごっつい味方を得られるかもしれん。・・・・・・ウチには失敗は許されへんのや)
姫は立ち上がると、侍女を呼び部屋を片づけさせると、ミリアを探すために部屋を出た。
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