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1-16 VS女魔術師④
†††1-16
「捕まえたぞ」
少女の冷たい目をにらみつけながら怒気を含めて言う。
「そんなのあんたの勝負の勝利条件に無いわよ」
少女が冷ややかに告げる。
「そうだな。でも、このまま攻撃を封じて、鐘が鳴るのを待てばいいだろ」
少女はじっと俺の顔を無表情で見つめたかと思うと、不適な笑みをにや、と浮かべた。
「あんた、あたしの魔術ってどんなのだと思ってるの?」
「・・・・・・『瞬間移動』か?」
少女が感心したようにへえ、と言う。
「そうよ。まあ、わかりやすい能力だものね」
「で、それがどうしたんだよ」
「・・・・・・あくまで降参はしない?」
「・・・・・・しない」
「・・・・・・ばかね」
言うと少女が俺を突き飛ばした。それで俺はバランスを崩し、一歩後ろに下がる羽目になった。しかし、俺も彼女の胸ぐらをつかんでいるので、それで彼女の拘束が解けるわけでもない。何を無駄なことを。
しかし、俺は次の瞬間悟った。さっきまでの会話の意味と突き飛ばした本当の意味を。
俺は中空に投げ出されていた。
†††