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詰みゲー!  作者: 甲斐柄ほたて
第四章 月、地平に沈む
109/141

4-21 歓迎式

†††4-21


ジョン達の前に現れたお姫様は屋敷に入るなり、きょろきょろと辺りを見回し始めた。


「姫様、お行儀が悪いですよ」

「ああ、せやな。初めて見る屋敷やからついな」


そう言ってケラケラと笑う。更に姫は首を傾げて言う。


「おかしいなァ。ここにおるんはメイド以外は五人やって聞いてたんやけどなァ・・・・・・」

「兄は今、私用で出ています」


ベンのことだ。


「そおなんか、残念やな」


耳元の髪をくるくるといじりつつ、姫が正面を歩いていく。脇にはジョン達やメイドさんがずらりと並んでいる。

貴人ってのはこういう人のことを言うんだな、とジョンは心の中で不思議に納得する。他人に敬われるべくして生まれた存在。生まれながらのナントカってヤツ。


「レイン中佐から聞いたとは思うけど、ウチは今日からここで住むことになってる。その間ウチのことは王女やと思わんでええよ」

「えっと、それはどういう・・・・・・」

「敬語でなくて結構!・・・・・・ってことや」


クラリス姫は一声元気よく叫ぶとにこっと笑った。その言葉を聞いてシャープが声をかける。


「・・・・・・よろしいので?」

「もちろんや。二言は無いで。ウチは女やけどな」

「では、クラリス。あなたはここへ何用で来たのかな。ここはただの訓練場だが」

「父上がウチにここに行け、言うてん。なんや次世代の軍がどうのこうの・・・・・・。よおわからんかったけど、まあ仲ようしてや」

「なるほど・・・・・・。わかった」


ジョンはなにがなんだかさっぱりだったが、シャープにはわかったようだ。


「みんなもこれでええかな?」


クラリスが輝く目でぐるりと周りを取り囲む人間を見る。その瞳に若干の不安の光を宿していたのを見て、まずミリアが声を発した。


「あたしは歓迎するわよ」

<じゃあ、ボクも>


続いてキティ。更にロベルトがうなずく。声が出なかったのだろうか。最後にジョンが、

「もちろん歓迎だ。大人数の方が楽しいし」

許可した。

それを聞いてクラリスは大げさなまでにガッツポーズを取った。


「いよおぉぉぉぉっしっ!!みんなよろしゅう!」


こうしてクラリスは満面の笑みとともに屋敷の住人となった。


†††

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