プロローグ ~全ての始まり~
まったり書いていくファンタジー小説です。
初小説なのでgdgd要素と中二的描写が多いかもしれません。
「寒い……。」
ここへ来てから、どれだけの日が経ったのだろう。
俺が今閉じ込められている場所、流刑牢獄アルカトラーズ。ここ、ダリル王国及び、その権威下に置かれる地域の囚人が集う、とても巨大な牢獄。
「メル……兄ちゃん、しばらく家に帰れそうにないよ。」
虚空の中に静かに呟く。
俺の名はベル。ベル・フレイヤ。王国城下の街で王国軍兵と騒ぎを起こし、投獄される羽目になってしまった。
今のダリル王国は、先代国王ゼス・ダリルが逝去し王位はその息子であるザウスに継がれた。しかし、王族や特権階級の私腹を肥やすためにつくられたような政策が多くなり、賢王と呼ばれた先代ゼスの面影は見る影もないほどの愚王として世界に広まった。
「メル……母さん…。」
「…………いか?」
「!?……誰だ!?」
「……ここから出たいか?」
向かいの牢から声が聞こえた。その芯の通った澄み切った声は深く耳に残った。
「出してくれるのか!?頼む!故郷に妹と母が!!」
「そうわめくな。」
そう言うと、漆黒を身にまとった小柄な体がゆっくりと立ち上がり、背丈に似合わぬ長剣で牢の鉄を一太刀のもとに斬り捨てた。
「来い、ベル」
同じく、一刀のもとに牢を斬り捨てる。
剣を仕舞うと同時に、長くスラリと伸びた青い髪を掻き上げるその仕草には神々しささえ感じた。
「お前……名前は?」
「アハトだ。よく覚えておけ。」
こうしてアハトとの世界を変えることになるまでの冒険は、静かに始まっていった。