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最後の話は私が物心ついた時から家にある日本人形の話。
夢の中で日本人形の【彼女】に誘われる話です。
1週間、同じように【彼女】は私の夢の中に出てきて、様々なアプローチをしてくれました。
最後に笑顔で別れた【彼女】は今も人形として家に飾られています。
あの誘いを受けていたら私はどうなっていたんでしょう?
私はあの1週間を絶対に忘れないと思う。
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人形の誘い
・・・
私の家には日本人形(正確には尾山人形というらしい)が玄関に飾られています。
母が結婚祝いで貰ったものです。
私は子供の頃、その人形をあまり見ることができませんでした。
今、その人形を見てみると、なんとも美しい日本人形なんですが、子供の頃はそれが怖くて仕方なかったんです。
それはある夢のせいでした。
時折、私はトイレに行く夢を見ることがありました。
トイレに行くには日本人形が飾られている玄関を横切らないといけないんですが、玄関を通るとき、人形が踊っているという夢を時々見ていたからです。
まだ小学生、しかも低学年だった私にそれは刺激が強く、その結果日本人形が恐怖対象になるのに時間は掛かりませんでした。
まぁ夢は夢だし、怖かったけれど害は無い。
けれどそれは5年生の時、突然起きました。
最初はいつものように踊っているだけでした。
怖かったけれどただそれだけ。
何時もと同じだったから、そんなに深くは考えなかったんです。
2日目は日本人形が飾られているケースの外に出てきました。
と、いうより私の後ろにいました。160cm位の和服の女性・・日本人形そっくりの女性がそこにはいて、ケースに人形の姿はありません。
女性は私に向かってきていました。
捕まりそうになった時、そこで私の目は覚めました。
3日目も同じように日本人形は踊り、そして大きくなって私に近づいてきます。
同じようにギリギリのところで目が覚めました。
4日目は遂に日本人形に手を掴まれました。
途端に体の自由が効かなくなり、日本人形の女性と一緒に陽気なダンスを踊りました。
私はもうパニックです。女性は何かをボソボソと喋っていましたが、何を言っていたかはよく覚えていません。
5日目は鬼ごっこでした。
トイレに行こうと立ち上がって玄関を通り過ぎるときに人形が動いているのは最早当たり前になっていて、私はその後何が起こるのかわからなくて不安で一杯になっていました。
案の定、部屋に戻るときに追いかけられます。
私もダッシュで逃げる。小さい借家な我が家では鬼ごっこなんてとても出来る広さはありませんが、そこは夢の中なのか普通に鬼ごっこをしました。
向こうはどうだったか知らないけど、こっちは連日そんな感じだったので恐怖で一杯、パニック状態で涙目でした。
鬼ごっこはかなりの時間続けられ、最後に捕まりそうになって目が覚めました。
6日目は家族が操られて敵になるところから夢は始まります。
遂に鬼ごっこは家を飛び出し舞台は外に。
何故か車を運転して逃げる私、追いかけてくる人形と家族・・・
人形は私に向かって
「もう時間がない。一緒に行きましょう?」
と言ってきました。多分だけど、今の私なら人形の誘いに簡単に乗っかっていたと思います。
だけど小学生時代の私はまだ純粋だったので
「僕はまだ家族と別れたくない!だから無理!」
みたいな事をいいました。(多分そんな感じのことを言ったハズ)
そうしたら人形は少し悲しい顔をして頷きました。私はその顔を何故か直視できなくて目を閉じたんです。
そこで夢は終わり目が覚めました。
それ以来この夢を見ることは無くなりましたが、車に轢かれても高い塀から落ちても無傷というラッキーイベントが起こるようになりました。
今も家にいる日本人形が守ってくれているのかな・・とか思っていたりします。
ご先祖様が守ってくれているとしたら申し訳ない気持ちでいっぱいになりますが。
・・・
いかがだったでしょうか?
あまり怖い話ではありませんが、小学生だった私には結構印象に残った出来事でした。
因みにこれを書いた日の夢で金縛りになって魂を引きずり出される夢をみました。
まぁ、夢ですけど。
ではまた何時か!