092⚫️戦闘態勢 & 093⚫️海上からの最大火力
092⚫️戦闘態勢
「みつけた!進路そのまま!巡航速度から微速前進に切り替えろ!」
「流石は先輩!いいカンですね!」
「いやあ、本当に大佐、こんな感じで索敵するとは、恐れ入ります。」
「ふん、ボビー、これぐらい朝飯前だ。easy as pie 小菜一碟だ。」
「戦闘艇を出す。乗員戦闘配置につけ!」
マチルダの号令一下、’ユキカゼ’は第一級戦闘態勢に入る。
093⚫️海上からの最大火力
海上艦’幽霊船’による猛烈な砲撃。
直撃はせず海面に着弾するが、それでも45口径46cm砲は只者ではない。
’ユキカゼ’を水錘作用による衝撃波が襲う。
圧倒的な物理的な威力。
だが、’ユキカゼ’から放出された戦闘艇も黙ってはいない。
船腹に向けて魚雷を発射する。
水柱があがる。
全弾命中。
しかし・・・沈まない。
多層構造の液層防御区画が、海中での爆発エネルギーを巧みに減衰させている。
炸薬を積んだ大型魚雷の直撃を受けても、内部のバイタルパートへの浸水を食い止める強靭さなのだ。
’幽霊船’の砲塔が旋回し、戦闘艇の位置を推定し、次の一斉射撃が来る。
その巨体を右舷に傾け、全砲門を開放する。
海は地獄の様相を呈した。
三基九門の主砲が咆哮すれば、長さ数十メートルに及ぶオレンジ色の火炎が空を裂き、一発一トン半の鋼鉄が音速を超えて放たれる。その凄まじい衝撃波は海面を巨大な円状に押し潰し、’幽霊船’自身の巨躯すらも反動で左舷へと震わせるのだ。
主砲の重低音に重なり、副砲の鋭い発射音、さらには対空高角砲や無数の機銃が連射音を刻む。空には曳光弾が光の筋を描き、炸裂した弾丸が黒い爆煙の壁を築き上げる。甲板上には爆風が吹き荒れ、鉄の要塞はただ、火を噴く怪物として海に君臨する。
数キロ先の着弾地点では、主砲弾が海を叩き、高さ百メートルを超える巨大な水柱が林立する。目標物はその水飛沫の中に消え、鋼鉄の雨にさらされることとなる。それは人類が造り上げた最大最強の「力」が、静寂の海を暴力的に塗り替える圧倒的な光景である。
「戦闘艇、無事か?!」
〈・・・無事で・・・あり・・・す・・・。〉
〈われ、いまだ、健在なり!〉
〈しかし、航行に支障あり!〉
「全艦艇、帰還せよ。・・・収容急げ!」
「イエス、マム!」




