神の嘘を読む
第3話
神の嘘を読む
“修正処理”という言葉が流れた瞬間、
この空間の「温度」が下がった気がした。
もちろん、
ここには温度も空気も存在しない。
だが、
“世界そのものが俺を拒絶している”
そんな感覚だけは、はっきりと伝わってきた。
光の糸の流れが、
わずかに歪む。
今まで一定だった流れが、
どこか不自然に乱れ始める。
これは、
運営者が動き始めた証拠だった。
⸻
俺は必死にログを読む。
自分が削除される未来が、
どこかに書かれているはずだから。
無数のログの中から、
“自分”という文字列を探す。
⸻
【管理ログ:KUROSE_REN】
・ステータス:例外領域
・運営介入:あり
・最終処理予定:72時間後
・処理内容:完全削除
⸻
三日後。
俺は完全に消える。
この“裏側”からも、
何も残らずに。
⸻
そのとき、
別のログが視界に割り込んだ。
⸻
【神格プロセス No.01】
・権限範囲:世界制御
・公開情報:
「世界は神の意思によって創られた」
・内部ログ:
「世界シナリオは外部よりロード」
⸻
……外部?
俺はさらに深く読む。
⸻
【内部ログ】
・世界は“製品コード:EDEN-β”
・目的:仮想文明育成シミュレーション
・管理者:複数名
・テスト期間:あと3年
⸻
この世界は――
“実験用シミュレーション”だった。
神は創造主じゃない。
テスターだ。
⸻
そして、
ここに書いてあった。
⸻
【終了予定ログ】
・3年後
・世界データ初期化
・文明ログ全消去
⸻
……全部、消える。
王も、
村人も、
笑った人も、
泣いた人も。
この世界そのものが、
なかったことになる。
⸻
俺は理解した。
神は「世界を導いている」のではない。
世界が滅びることを“隠している”。
神は、
嘘をついている。
⸻
そして俺は、
初めて“決意した”。
三日後に消えるなら、
それまでに――
この世界の“裏仕様”を、
全部読む。
神のルールを、
奪うために。
⸻
次回:
第4話『72時間の観測者』




