ノガミが仲間に加わった。
「なぁ兄さん。何故兄さんまでここにいるの?」
村へ戻る道中に聞いてみる。
ー現実の世界ー
「タカ…タカ…どこで何しようと?」
タカが無断で仕事を休んでいる。
電話をするが虚しくコール音が響くだけ…。
もう2日も来ていない。
連絡も返ってこない。
流石に心配だ。
俺は意を決してタカの住むアパートへ向かった。
インターホンを押すが中から返事は無い。
ドアノブに手をかけると"カチャリ"と静かな音を
立てドアが開いた。
「タカ…タカ…鍵も閉めんでなんしようと?」
呼びかけるが真っ暗な部屋の中にタカの姿はない。
ただ1つ不気味に光を放つVRゴーグルが
ポツンと落ちている。
そういえばVRゲーム買ったって言ってたな…。
何故か興味が湧いて落ちていたVRゴーグルを
はめてみる。
すると眩い光が目の前をおおう。
頭の中を直接揺らされている感じだ。
「なんねこれは…。」
気を失いかけると草原に立ち尽くしていた。
呆然と周りを見渡す。
ガサガサっガサガサっ。
木陰から何かが顔を覗かせる。
「うひぃ。」
………化け物だ。逃げなきゃ。
"ノガミは逃げ出した!"
"しかし回り込まれた!"
"ゴブリンの攻撃!ノガミに8のダメージ!"
イラっとした。やり返そう。
「お前なんしよっとか!」
"ノガミの攻撃!ゴブリンに5のダメージ!"
そうこうしてたら今に至るらしい。
まぁなんだ。端的に言ったら全部俺のせいだ。
「巻き込んでごめんよ兄さん。」
「気にせんでいいとよ。タカが無事で安心たい。」
兄さん…。兄さんの優しさが染みる。
話をしていたら村の入り口に着く。
「さぁ着いたぞ。クエスト完了したら集会所に報告だ。そしてそこで報酬を受け取る。」
ギーゴの後を着いて行く。
「クエスト完了したぞ。」
「お疲れ様。はいこれが今回の報酬ね。」
「5300ドラか。俺300でいいや。お前ら半分こして装備整えてこい。」
ギーゴが報酬を差し出す。
「え?俺何もしてないのにこんなに受け取れない。」
「そうばい。報酬やりすぎばい。」
「うるせえよ。お前らが装備くらい整えないと毎回俺が呼ばれるだろ。めんどくせえから買ってこい。」
なんだなんだ。口は悪いけどギーゴって案外いい奴?
「よし。300ありゃ美味いの食えるだろ。ミサ。終わったら飯行くぞ。」
「もうっいつも急に誘うんだから。いつもの場所で待ち合わせでいい?」
いい奴じゃなかった。人のヒロインをひょいひょい連れ出しやがって。
それになんだ。嬉しそうに照れるヒロイン。
主人公の立場がないじゃないか。
「タカ…タカ…装備整えたらご飯行くばい。」
「あぁ兄さん。そうだね。」
まぁゲームを進めたらヒロインは勇者(予定)の俺とくっつく事だろう。
その後兄さんと装備を揃え2人で楽しく食事をした。