村長の元へ。
宿屋から出た俺は教えてもらったように
村の一番奥の村へと向かう。
村では子供達が駆け回り遊んでいる。
ドンっ!子供とぶつかる。
"タカは1のダメージを受けた!"
「お兄ちゃんごめんなさい!」
「いいんだよ。気をつけて遊ぶんだよ。」
俺は絶望した。子供とぶつかるだけでダメージ受けるとか貧弱すぎるだろ。
悲しみに暮れ顔でも洗おうと村に流れる川に近づく。
水をすくおうと水面を見た時俺は違和感を覚えた。
…顔が違う。水面には若くてイケメンが映っている。
……あぁそうか!中身は俺でも見た目はゲームの主人公キャラだからさっき"若い兄ちゃん"って言われてたのか。ちょっとなんだか元気出た。
少し元気回復した俺は村長の家の扉を開ける。
「ごめんください。」
「あら。知らない顔。ベナン村長にご用?」
「はい。この辺を冒険してて村に立ち寄らせてもらったもので挨拶にと。」
「分かりました少々お待ちください。」
その女性は奥へと向かい村長を呼ぶ。
程なくして女性と共に村長が現れる。
「わざわざ挨拶に来るとは立派な若者じゃ。ワシはこの村で村長をしているベナンじゃ。こちらはワシの身の回りの世話をしてくれているアンジュ。」
「アンジュです。」女性はペコッと頭を下げる。
「この辺りにもセキーオ軍勢の被害が出始めてのう。大したおもてなしも出来なくてすまんの。」
「いえいえ。僕はタカと申します。」
「タカとやら。この村に来たのなら双天鬼兵団に会って行くといい。リーダーの"キカーダ"は今外に出ていないが副リーダーの"ギーゴ"なら村にいるはずじゃ。」
ギーゴ…っ!さっきのめっちゃ怖い奴か!
「ギーゴさんなら会いました。てかぶっ飛ばされて死にかけました。」
村長は目を丸くして驚く。
「なんと!ギーゴとやりあって無事に動けているとは!タカとやら!ソナタは素質があるようじゃの!」
ギーゴってそんな驚く程やべー奴なのか…。
「ソナタを見込んで頼みがある。どうか双天鬼兵団に力を貸してやってはくれぬか?セキーオ軍勢の勢いは凄まじく彼らも苦労しておる。」
おっなんだかイベントが進んだっぽい。
でもまたギーゴに会うのは怖いなぁ。
「私からもお願いします。」
アンジュからもお願いされちゃった。
行くしかないかぁ…。
「分かりました。ギーゴさんのとこ訪ねてみます。」
「ギーゴなら村のどこかにいるはずじゃが…ミサと言う女性に聞けば居場所はすぐ分かると思うのじゃが。」
うわぁ…どっちも会い辛い人達じゃん。
初っ端から重要っぽいキャラにやらかしたのか俺。
でも仕方ない。嫌がっててもゲームが進まない。
ゲーム進めないと"現実"への戻り方が分からない。
「ではミサさんとギーゴさんの2人を訪ねてみます。失礼します。」
次なるイベントの為に俺は村の中心へと向かった。