ミサとの遭遇。
翌日。
仕事を終え帰宅すると早速ゲームを始める。
昨日は名前をつけてすぐセーブしたし
今日は少しゲーム本編を進めたい。
………相変わらず凄いなVRってのは。
改めて技術の進歩には驚かされる。
しかし…だ。
こんな草原にいきなり放り出されて
一体どうしたらいいんだろう?
すると遠くに人影が見える。近づいてみよう。
「こんにちは。あなたは冒険者さん?私はミサ。この近くの村に住んでるの。」
ほうほう。近くに村があるのか。どっちだろう。
もう一度話しかけてみる。だが…
「こんにちは。あなたは冒険者さん?私はミサ。この近くの村に住んでるの。」
なるほど。何かしら進めないと会話も進行しないパターンか。リアルだけどゲームだもんな。
でもこのヒロインのキャラめっちゃ可愛い。
ちょっと触っちゃおうかな。大丈夫だよね。
ゲームだし。
俺はミサに向かって手を伸ばす。
だが俺の手は虚しく空を掴むだけ。
そりゃそうか…リアルに見えてもゲームだしな。
でもこんな可愛いキャラと手を繋いだり
出来たらたまらないだろうな。
ゲームと分かりつつも謎の憧れを抱く。
ーーーふと思い出した。
"スーパーリアリティボタン"
あれ使ったら何かしら五感を刺激してくれて
感触を感じれたりするのかな?
俺は"現実に戻れなくなる"の言葉がひっかかりは
したがボタンを押した。
辺りが眩い光に包まれ目を開けてられない。
頭がぐわんぐわん揺れる。
なんだこれ…やばいボタンだったのか…
頭の揺れが治まると俺は目を開けた。
なんだなんだ。
風を肌で感じるし陽射しの暑さも感じる。
微かに漂う花の香りもする。
リアルすぎるだろこれ…
困惑していると急にびっくりした声がした。
「きゃっ!いきなりあなた誰?突然現れて!」
ミサだ。会話内容も変わっている。
「いやスーパーリアリティボタン押したらこうなってて自分でも良く分からないんですが。」
「何言ってるの?スーパーリアリティボタンって何の事?」
すげえな。会話まで普通に成立する。
にしてもリアルすぎる。
触れそう。ちょっと触ってみるか。
ムニッ。手に伝わる感触。
「キャーっ!」バチン!
思いっきりひっぱたかれた。
すごく痛い。
"ミサからビンタを受けた!3のダメージ!"
空中に文字が表示される。
「いきなりなんですか!急に現れて急に触ってくるなんて!」
…リアルすぎるとかじゃない。これ現実だ。
ゲーム要素は表示される文字くらいしかない。
「…失礼しました本当に。ゲームだと思ってて。」
「さっきからずっと訳の分からない事を…」
「あの…この辺に村ありませんか?」
「村を探してたの?案内してあげるけどそれ以上近づかないでね!離れて歩いて!」
出だしは最悪だ。というかスーパーリアリティボタンの解除方法どうするんだろうか。
普通にゲームして勇者扱いされたかった。
様々な事を考えつつ俺はミサの後を"離れて"着いて行った。




