双天鬼兵団帰還。
「そ…双天鬼兵団が戻ってきたぞー!!」
村の入り口で誰かが叫ぶ。
村人達がわらわらと入り口に集う。
1人…また1人と鬼兵団員が村に入ってくるが
皆一様に傷つき疲れきっている。
その壮絶な姿に村人達は言葉を失った。
程なくしてキカーダとギーゴが入ってくる。
「キカーダ…今回は流石にやばかったな…。」
「そうだね。セキーオ軍があんなに本腰を入れて攻めてくるとは…。」
「すぐにまた出向くか?モジュール地方の支部…今のまま攻められたらもたないぞ。」
「すぐに行きたいのは山々だけど…僕らも体勢を立て直さなきゃいけない。しばらくは村にとどまろう。」
「ギーゴ!!!」
ミサが泣きそうな顔でギーゴに抱きつく。
「何やってたの…心配したよ…。」
「すまねえすまねえ。戻るのが遅くなっちまった。」
ギーゴもミサを抱きかえす。
安心したのか笑顔になるミサ。
「そうやって心配かけてしまう人もいる事だしね。
さっ僕もナギッサのとこに行ってこようかな。」
キカーダはニコッと微笑むとその場を後にした。
………主人公っぽい。この2人が主人公っぽい。
初期段階でスーパーリアリティボタン押したせいでへっぽこ主人公が誕生してそのせいでゲームがおかしくなったのかな?
そう考えたらヒロイン設定にしたミサがギーゴの事好きでナギッサがキカーダの事好きなのも納得行く。
普通にゲームを進めていたらアヤだってマエダフーとくっついてなかったかも知れない。
今のとこ全ての女性キャラのルートが閉ざされている。それだけじゃない。
俺と兄さんは北の洞窟に行ったくらいで初期の村から全然進んでない。
クエストとか転職とかビルドとかの要素は解禁されたものの肝心のストーリーが全然進んでない。
もしかして俺…とんでもない事やらかしてるのかも。
色々不安を覚えギーゴ達を見ていると…
「見せもんじゃねーぞコラ。」
ギーゴに怒られた。
「ご…ごめん!兄さん行こう!」
「タカ…ちょっと気になる事のあるけん静かな場所に行くばい。」
兄さんと2人で村の外れの広場に行く。
「……やっぱり兄さんも思ってた?」
「うん流石におかしかばい。ゲームの進行に関係なくキャラが動きよるし知らんとこでどんどんストーリーの進みよるごた。」
「だよね。あんなに強い双天鬼兵団が初期の村の段階であそこまでやられるのもおかしいし。」
「それに職業選択の時も少なすぎたばい。いくらステータスが低かけんて魔法使いとか僧侶とか基本的な職業選択できんともおかしか。」
「そうだよね。魔法っぽい能力はミサが"動物と意思疎通"できるってのしか出てないもんね。」
「とりあえず今すぐどうにか出来る事はなかろうけんもうしばらく様子ば見っしかなかね。」
兄さんと話を終え宿屋に着く。
ベッドに入るが…僕らがゲームの中に干渉したせいでこの世界が滅ぶんではなかろうかと不安になりなかなか眠りにつく事ができなかった。