刺激を求めて。
俺はタカ。
冴えない中年のおっさんだ。
毎日仕事をし帰って寝て起きて仕事に行って…
同じ毎日を繰り返す人生に飽き飽きしていた。
「タカ…タカ…そろそろ休憩するばい。」
そう俺に声をかけてきたのは一緒に仕事を
している野上さん。
年上だから兄さんと呼んでいる。
「あぁ…兄さん。コーヒーでも買ってこようか?」
そう言い自販へ向かう。
コーヒーを買いながらもずっと考える。
あーなんか刺激が欲しい切実に。
兄さんの元へ戻りコーヒーを手渡す。
「ねえ兄さん。兄さんは趣味とか暇つぶしとか…なんかしてる?」
「タカ…タカ…いきなりどげんしたと?」
「毎日暇で暇で。仕事して帰って寝ての繰り返しだからさ。何かないかなって。」
「最近のゲームは面白いばい。」
「へぇ。兄さんゲームなんかするんだ。」
「VRのゲームはリアルで刺激があるばい。」
ゲームねぇ…。暇つぶしにくらいなるかな?帰ったら色々調べてみようかな。
仕事から帰宅した俺は早速ネットで検索した。
「VR…VR…っと。」
VRとは、**「Virtual Reality」**の略で、「仮想現実」と訳されます。コンピューターによって人工的に作られた仮想空間に入り込み、あたかも現実世界にいるかのような体験ができる技術です。専用のVRヘッドセット(ゴーグル)を装着することで、"没入感の高い"360度の映像や音響などを体感できます。
「うわぁ。なんだか難しそう。」
難しそうと言いつつも没入感の高いって一文に心を惹かれ次はVRのヘッドセットを検索する。
ネットの世界は広い。VRのヘッドセットと検索すればいっぱい出てくる。
「いっぱいあり過ぎて選べないよ。」
そう困っているとある一文に目が止まる。
我社のVRヘッドセットはどこにも負けない"没入感"そして"リアル"を約束致します。
今ならゲーム同梱で80パーセントオフ。
「すっごい自信のある謳い文句だな。」
思わず笑みがこぼれる。
…自信満々みたいだからここで買おうかな。
それにゲーム同梱で80パーオフだしもしゲームがつまらなくてもヘッドセットを安く買ったと思えばいい。
見た事も聞いた事もないメーカーで不安はあるが
俺は早速購入ボタンをクリックした。
これで多少は何かしらの刺激になるかな?
同梱されてるゲームのあらすじを見てみると
魔王に支配された世界を救う勇者が主人公の王道なRPGみたいだ。
「もう買っちゃったし後は届くのを待つだけだ。」
童心に戻り勇者になりきって魔王を倒しに
行くのも悪くないかもしれない。
久しぶりにワクワクしながら眠りについた。