赤組vs白組 宿命の再会
昼休み。
応援団の集まりがあり、蒼空が校庭を歩いていると、ちょうど山仲こうすけ――通称ゴウちゃん――と鉢合わせた。
「お前、白組応援団長かよ!」
ゴウちゃんは驚きながら言った。
ゴウちゃんはいつもおっとりしていて、何事にも冷静な男だが、この時ばかりはちょっと違う。
「マジかよ、赤組がそら?、面白くなりそうじゃん!」と、少し興奮気味に言って、蒼空の肩を叩いた。
蒼空も負けじと、少しニヤリと笑った。「おう、やってやるぜ」
けれど、心の中ではもうひとつの感情が芽生えていた
「ゴウちゃんが白組の団長かよ……」
確かに、ゴウちゃんとは子供のころからの親友だ。
でも、今は競争相手だ。
ゴウちゃんは明るくて、みんなに好かれるタイプだから、間違いなく白組を盛り上げてくれるだろう。
もし、赤組が負けたら、蒼空はきっと後悔するだろう。
いや、それ以上に、今までの努力が無駄になった気がするだろう。
――負けたくない。絶対に。
ゴウちゃんと顔を合わせて、その思いが強くなった。
だが、笑いながら言った。
「お前、白組で団長か。ちょっと嬉しいけど、負けねーからな」
「おお、こっちこそ! お前も頑張れよ! 負けられないな!」
「勝っても負けても恨みっこなしだ!」
ゴウちゃんも応援団長として、自然に笑顔を作る。
そのやり取りに、蒼空は少しだけ気持ちが軽くなった。
でも、負けられない気持ちはますます強くなるばかりだった。