勝利の涙、そして親友の絆
――本番当日。
全校生徒の視線が集まる中、応援合戦が始まった。
赤組と白組、それぞれの団員たちが真っ直ぐに立ち並び、団長を中心に一斉に構える。
その空気は、ただの「応援」ではなかった。
まるで舞台だった。
誰一人ふざけていない。全員が、全力だった。
「いくぞ……! 赤組、気合い入れてけ!!」
蒼空の声が響く。
喉はまだ完璧じゃない。でも、出る。ちゃんと、みんなに届く声だった。
「赤組、いっちばん!!」
「いっちばーーーん!!!」
赤組の団員たちが、グラウンドに響くような声で返す。
その動き、揃いすぎていて鳥肌が立つほどだった。
太鼓のリズムに乗って、振り付けが進む。
腕を高く掲げ、拳を突き上げ、地を踏み鳴らすように跳ぶ。
誰一人、手を抜いてない。
「燃やせ! 心の火を!! 赤組の魂、見せてやれぇぇ!!」
「おーーーーっ!!」
会場の空気が震える。
だけど次の瞬間、白組の反撃が始まった。
「白組ぃ! ぶっちぎれぇぇぇぇ!!!」
ゴウちゃんの声が飛ぶ。
「ぶっちぎれーーーっ!!」
白組も負けていない。整然とした動きと、まるで軍隊のような一糸乱れぬ応援。
そして何より、ゴウちゃんのパワーが凄まじい。
声、動き、目線、全部が堂々としていて――
(やっぱ、すげぇな……ゴウちゃん)
だけど蒼空は、目をそらさない。
胸の中でじいちゃんの言葉がよみがえる。
『応援ってのはな、魂ぶつけるもんだ。中途半端はすぐバレる』
「赤組、全魂解放!! 行くぞぉぉぉぉ!!!」
「いっけぇぇぇぇーーー!!!」
叫ぶ。
跳ぶ。
拳を突き上げる。
声が裏返っても、動きがバラけそうになっても――心は一つ。
ゴウちゃんの白組と、蒼空の赤組。
応援が交互に展開されるたびに、空気が熱を増していく。
会場からは「おぉ……」というどよめきが止まらなかった。
ついに、ラストパート。
両組の団長がそれぞれ、最後の叫びを放つ。
「赤組ぃぃ! 最強ぉぉぉぉ!!」
「白組ぃぃ! 最後までぇぇ!!」
魂をぶつける、最後の応援。
赤と白、全力と全力がぶつかる、息を呑む瞬間。
そして――静寂。
先生がマイクを手にし、緊張の空気が会場を包む。
「応援合戦……勝ったのは――赤組!!」
その瞬間、赤組から歓声が爆発した。
「うぉぉぉぉぉおおお!!」「やったぁぁぁぁ!!!」
蒼空は、その場にしゃがみ込みそうになった。
でも、涙をこらえながら、拳をぎゅっと握った。
「勝った……」
そして――ゴウちゃんが、静かに歩いてくる。
汗で髪が張り付き、肩が上下していた。
それでも彼は、まっすぐ蒼空の前に立って言った。
「……勝ったな、赤団長」
「……マジでギリギリだったけどな……」
ゴウちゃんは、ほんの少しだけ笑って、こう言った。
「でも、お前らの応援、本物だったよ。悔しいけど、おめでとう」
蒼空は涙をこらえながら、彼と握手を交わした。
握手は、友情の証だった。




