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書き手さんを応援するだけシリーズ

心血を注いで書いたにも関わらず愛せなくなった作品を持つ人へ贈る、横殴り豪雨系応援エッセイ

作者: 長埜 恵

 あなたには、愛せなくなってしまった作品があるでしょうか。

 あれほど心血を注いだのに、気づけば更新をやめ、はたまた完結させたはいいけれどもう二度と読み返すことができなくなった作品はないでしょうか。

 これはそんな作品を持つあなたに送るエッセイです。どうか最後までお読みいただければ幸いです。



1.最初に、愛せなくなった理由を考えましょう


 インナーチャイルドという言葉があります。あなたの心の中には幼い子がいて、大きくなったあなたの代わりに泣いたり怒ったりしているという考え方です。過去に深く傷ついた人は、自身の中にいるこどもに目を向け、慰めてあげることが自らの癒しに繋がっていくのです。

 一時は愛を注いだのにそうできなくなったということは、何か傷つく出来事があったのかもしれません。それは例えば、心ない言葉だったり、あなたを取り巻く環境の変化だったり。


 ひとつでもいいから思い出してください。あなたがあなたの作品を愛せなくなるほど傷ついた原因を。


 思い出したなら、それをあなたの空想の世界で、両手で抱えられる程度の丸いガラス玉にしてください。できましたか? 素晴らしい。やはりあなたにはイメージする力がある。

 さあ、今からあなたは、あなたの心の世界を旅します。私が導くので安心してくださいね。この旅は、傷ついてしまったあなたの心を、幾ばくか癒せるかもしれません。


 ……あなたは何もない場所にいます。見渡す限りまっさらで、果ての見えない空間です。


 ですが、あなたの手にはあるものがあります。そう、さきほど作った「作品を愛せなくなった原因」のガラス玉です。キラキラと輝き、あなたの表情を映しています。

 それが確認できたなら、おもむろにガラス玉を高く持ち上げてください。


 できましたか?


 じゃあ一気に地面めがけて叩きつけてください!!!! ウオオオオオオオオ粉々!!!! イエス!!!! エクセレント!!!! ワオ!!!!

 ここは空想の世界、あなたが何もかも自由にしていい世界!! 何度でもガラス玉を割りまくってください!!!! 気が済むまで容赦なく!!!!

 信じられないぐらい粉々になった? オッケー、次はあなたの作品を探しにいきましょう。あなたにならあなたの作品の居場所がわかるはずです。そちらめがけて全力で走ってください。

 いましたね。あなたの作品です。

 オラァーーーーーーーーッ!!!! 思い切り抱きしめてください!!!! 遠慮はいりません!!!! なぜならそれはあなたの血だから! 肉だから!! 紛れもなくあなたの手から生まれて育った作品だから!!! あなたが名前をつけたものだから!!!!

 素晴らしいものです。心血を注いで作られたものに他者が不躾な評価を下すべきじゃない。あなたが尊いのと同様にあなたの作品は尊い。こんなにも単純な話なんです。


 続けられなくなってもいいんですよ。飽きてもいいし、別の世界に目を見張ってもいい。でも、もしあなたの心を傷つけたり恥ずかしくさせる何かが起こって、それによってあなたがあなたの作品を愛せなくなってしまったなら、何度でもこの文章を読んでほしい。

 あなたが本気で書いた文字は、言葉は、世界は尊い。文字になっていく過程でたくさんの出来事があって、あなたはそれを忘れることはできないだろうけど、それでもいいんです。だからなんだ! この作品があなたの心血を注がれて紡がれたって事実には何の揺らぎもないでしょうがよ!!!!


 本当にズルい人がいる。アホほどいる。人の作品を平然とパクり、鼻をほじりながら誹謗中傷を繰り返す輩がいる。そういう人達からすると、あなたは愚直で間抜けに見えるのかもしれない。

 違う。あなたは美しい。奇跡みたいな存在だ。あなたの心を折り、打ちのめす何かがあったとしても、それは依然変わりない。

 むしろあなたの輝きは増しているのである。人とはそういうもので、特にあなたのような人に関してはとことんその傾向が強いと思う。あなたは純粋だ。一つのことに心血を注ぐことができるというのが、何よりの証拠だ。


 これは、あなたの作品だ。誰にも奪えない(奪ったところでうまく扱えるはずもない!)、あなたのもとでこそ輝く唯一無二の作品だ。その純粋さは星の輝きにも似て、きっとあなたや誰かの道のりを強烈に照らすのだ。

 どうかそのことを忘れないでほしい。あなたもあなたの作品も、凄まじく尊く、美しい。






 ……。


 おかえりなさい。今、あなたは空想の旅から帰ってきました。

 この旅は、あなたにどんな意味をもたらしたでしょう。もし見上げた空がいつもより澄んで見えたのなら、それはあなたの感性が素敵なおかげです。このエッセイを読んだからではありません。


 私の願いはただひとつ。あなたが作品を生み出す日々が、彩りに満ちたものでありますように。

 あと、軽やかに作品をパクる人と悪質な誹謗中傷する人をひとまとめにして宇宙に向けて射出できますように。


 それではみなさん! また私が悩んだ時にお会いしましょう!!!! では!!!!

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― 新着の感想 ―
現在エタってる話があるので心に刺さるエッセイでござりました。 いやね、誰かに酷い事言われたとかじゃなくて、具体的な言及は避けますが、作中起きた事件みたいな事が、現実でも起こっちゃったせいで心理的に書き…
こんにちは。 自分の作品を愛せなくなった事はありません。 でも、読んでスッキリしました! ありがとうございます。
心に響きました 負けないでください なにかあったら訴訟費用クラファンしてください 応援しております
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