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久しぶりのティティー村

ややあって、母さんが後ろのカミーラ師匠達に気が付いた。


「あら、お客様が来ていたのね。どうぞ中へ」


「お邪魔します」


カミーラ師匠達に母屋の客室を案内し、僕も久方ぶりに自分の部屋へ戻ってきた。


まずは旅装を解き、暫し寛ぐ。

ベッドに身体を預け、クリーム色の天井を見上げる。

たった三ヶ月なのに、こんなにリラックス出来るのは久方ぶりだと思う。


ノックが鳴り、昼食に呼ばれた。


食堂へ行くと、皆揃っていた。


上座に、村長のベン、妻のフアラ。

こちら側に、カミーラ師匠、僕、ニンゲさん、ロックさん。


「では、昼食を始める」


父さんの声に合わせて、ミラノさんが配膳してくれる。

メニューは、鶏肉のソテーと、ご飯と味噌汁だ。

鶏肉は皮がパリッとしていて、中の肉がジューシーだ。

味噌汁は根菜がゴロゴロ入っていて、食べ応えもタップリだ。


デザートは、プリンだった。

卵の風味を存分に味わい、クリーミーなプリンを心行くまで楽しんだ。


食後のお茶を淹れて貰い、ミラノさんに帰還の挨拶をする。


「ミラノさん、ただいま。いっぱい食材を仕入れて来たよ」


「お帰りなさい、坊ちゃん。食材、楽しみにしてましたよ」


僕達はアイコンタクトをして頷き合い、このあと素材を出しに厨房へ行こう、と決めた。


「ハイド男爵から手紙を頂いている。転生者支援の旅は大成功だと聞いた。カッスィー、頑張ったんだな」


「うん。沢山の転生者が喜んでくれたんだ」


「ベンさん。カッスィーは慣れない旅でも泣き言を言わず、目的をやり遂げました。今後の旅でも、カッスィーの力をあてにしています。本当に、頑張っていますよ」


カミーラ師匠に褒められすぎて緊張してしまう。


「このあとは、すぐ王都へ向かうの?」


「ここでも納品するだろう? だから一週間後に出立出来たら良いと思っている」


「わかった。半年分、納品するね。それと父さん。ハイド男爵が、ティティー村で蕎麦を育てて欲しいって言ってたよ」


「わかった。農業スキル持ちに声をかけておく。では、解散しよう」


席を立った後、母さんの声がして振り向いた。


「カッスィー、春に入植者が越してきたの。食堂もひとつ増えてるから、外に出るなら注意してね」


「わかったよ、母さん」


食堂がひとつ増えてるだって?

ガイはどうしてるだろう。

商売敵が増えて喧嘩してないかな。


僕はまず、厨房の控え室へ行き、ミラノさんに仕入れの成果を見て貰った。


オーク、オークキング、ミノタウロス、キラーホーン、岩蛙、岩蟹、ファイヤーバード、雪ヒトデ、クラーケン、水打ち熊の手。


一体分ずつ出したけれど、随分な量になってしまった。


「こりゃあ数はあるんですかい?」


「オーク36体、ミノタウロス57体、キラーホーン106体と岩蛙316体。岩蟹100体と、ファイヤーバードは2羽で、雪ヒトデは5個。クラーケンは3匹、熊の手は6個だよ」


「今夜の夕食は熊の手にしましょうか。あとは食堂のニネさんと相談しましょう」


「うん、わかったよ。熊の手は6個置いていくね」


「それと坊ちゃん。フルーツの納品を頼みたいんですが、いいですかい?」


「もちろん。何でも出すよ!」


その後、フルーツをたっぷり出した。


そして、半年分の納品として、母さんが伝票を作ってくれた。


伝票を持ち、倉庫に行こうとしたところで鑑定師の不在に気付いた。


そんなわけで、テッサの家まで来た。

門のところでインターホンを鳴らす。


家から出て来たのは、エルゥさんだった。


「あら、カッスィー、お帰りなさい」


「ご無沙汰してます。テッサはいますか?」


「ええ。いるわよ。ちょっと待っててね」


奥に引っ込んだエルゥさんがテッサを呼ぶ声が聞こえる。

しばらくして、茶色の髪に灰色のツナギ姿のテッサがニコニコ顔でやってきた。


「カッスィー! 久しぶりだなー!」


「久しぶり、テッサ。修行の空いてる時間があったら、鑑定師として雇われてくれない?」


「水くさいこというなよ。今から行こうぜ」


「ありがとう」


テッサと連れ立って村長宅へと戻る。


「ガチャは明日やるつもりなんだけど、都合はどう?」


「大丈夫だよ。親父もミスリルの剣を打ちたがっているし、丁度良かったよ」


村長宅の倉庫に到着し、僕は伝票を片手に、まずは米から納品を開始した。


途中、テッサとおやつを食べて、また続きの納品をする。

夕刻までには味噌の納品が終わった。

続きは明日、と約束して解散した。


自室で休憩していると、夕飯に呼ばれた。

食堂へ着くと、皆が勢揃いしていた。


上座に、父さんと母さん。

こちら側に、カミーラ師匠と僕、ニンゲさんとロックさんだ。


僕はカミーラ師匠の隣に腰掛け、夕食の開始を待った。


「晩餐を始める」


父さんの声に合わせ、前菜が運ばれてくる。


前菜は、豆のキッシュとサラダだ。

ほっくりとした豆と、卵の優しい風味をじっくり味わう。

サラダは酸味のきいたドレッシングで、食欲をかき立てていた。


メインは、熊の手のグリル。

表面をさっと焼き、オーブンでじっくり熱を通した逸品だ。

ナイフを入れると、弾力があり、スパイスの香りが鼻に抜ける。

それほどクセもなく、肉の旨味を堪能できる。

久しぶりに食べたけれど、とっても美味しかった。


デザートは、フルーツショートケーキ。

メロンや桃など甘い果物をゆっくり味わえるケーキだ。とても美味しかったので、一気に食べてしまった。


食後のお茶を飲みつつ、カミーラ師匠と父さんは旅の今後について話している。


その後、解散となり、席を立った。


部屋に戻り、お風呂に入った。

そうだ、自分の家のお風呂を泳げるように改造するのもいいのでは?

しかし、ティアージア公爵家にあったようなお風呂は、メイドさんがいないと維持できないのかもしれない。

僕はゆったりお湯に浸かってからお風呂を出た。


お風呂上がりには牛乳を飲み、歯磨きをして就寝した。

お読みいただき、ありがとうございました。


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