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イクトとルビア

地下4Fの階段を降りていく。

すぐにゴブリンが集まってきたので、弓を引き絞り、首を狙って矢を放った。命中。次の獲物の首目掛けて、第2射。命中。調子は良いようだ。

ゴブリンから魔石を取り、討伐証明を切り取る。


セーフティエリアに向かう途中、3回程戦闘を繰り返した。一番敵を倒したのは、イクトである。

彼はいつもながら動きに無駄がなく、美しい太刀筋で一閃。多数の敵を屠っていた。


「さて、休憩だ。少し早いが昼食にしよう。カッスィー、頼めるか?」


セーフティエリアに着いた途端に、エドさんに頼まれ、お弁当と水を出した。

今日のメニューは、メンチカツ弁当だ。

メンチカツは柔らかく、噛むとじゅわっと脂が染み出して美味しい。激闘の後なので足りないかと思い、おかずに餃子を追加で出しておいた。

餃子は外側がパリッと、内側がしっとり柔らかく美味しかった。

食べ終えたら、デザートだ。今日はシュークリームを出した。ホイップクリームとカスタードクリームの2種がシュー生地の中で踊っている。

甘くてとても美味しかった。


昼食を食べ終わって暫く経った後。エドさんの号令で動いた。


「じゃあ、4Fのボス部屋に行こう。皆、準備は良いな?」


「おう!」


僕達は、元気良く返事をした。


道すがら、ゴブリンを倒しながら進む。

上位種は見当たらない。

目に付いた敵はすぐさま一閃。イクトによって首を落とされていた。

心臓から魔石を取り、討伐証明を切り取る。

そしてまた、次のゴブリンに着手するのであった。


さて、4Fのボス部屋である。

ガイが合図をして、中に入った。すぐにイクトとテッサが突っ込んでいく。僕とルビアも、戦闘開始だ。弓を引き絞り、ゴブリンアーチャーの首を狙う。2発命中。次のゴブリンアーチャーの首を狙う。1発命中。他のゴブリンアーチャーは炎に包まれていた。次はゴブリンメイジだ。首に狙いを定め、弓を放つ。命中。そして一閃。イクトによって首が落とされた。次も同じように倒す。そしてゴブリンキングだ。攻撃はガイが受け止めている。首を狙って矢を放つ。命中。しかし絶命していない。そこに、一閃。イクトによって剣戟が放たれ、ゴブリンキングの首が落ちた。

残りはゴブリンだけである。ルビアのファイヤーアローが命中し、炎に包まれる。残りの個体に狙いをつけて、矢を放ち続けた。

倒し終わり、魔石の回収と討伐証明の切り取りをする。今回の報酬は、ゴブリンキングのサファイヤの首飾りだ。魔石と一緒に回収し、マジックバッグに仕舞った。


ボス部屋から出て、4Fをぐるりと回って、ゴブリン狩りをする。

いずれも3体から4体で徒党を組んでいるので、数を稼ぎやすい。

ガイが釣ってきて、イクトが一閃。残りを僕達が倒す。その繰り返しだ。


ゴブリンを200程狩っただろうか。

僕達も慣れてきたので、スピードが上がった。

手慣れた動きでゴブリンに矢を放ち、命中させる。そして一閃。首が落ちる。

調子が良いので、後100体程狩ってから5Fに降りる事になった。


「ファイヤーアロー!」


ガイが釣ってきた個体に炎の花が咲く。僕の弓矢も命中。そして一閃。するりと動いたイクトに合わせて、ゴブリンの首が落ちる。打ち漏らしはない。よし、次だ。

わらわらと寄ってくるゴブリンに狙いを定め、矢を放ち、絶命させる。それを繰り返す。


イクトはゴブリン狩りを心底楽しんでいた。右に一閃、左に一閃。剣戟は思いのまま放たれ、ゴブリンの首が落ちていく。

魔石を取る時間すら惜しく、もっと数を狩りたいという欲求が止まらない。

ガイは多めに釣ってきてはいたが、今のイクトに敵うものではなかった。

するり、と首が落ち、次の獲物を探すイクト。

僕達は、イクトの腕前に惚れ惚れしつつも手を止めず、ゴブリンを倒し続けた。


「ああ、楽しかった」


イクトがそう呟いたのは、狩ったゴブリンの総数が300を越え、一段落ついた頃。イクトは感慨深げに息を吐いていた。

じゃあ次は5Fへ行こうという話になり、セーフティエリアを目指して歩いていった。


戦闘を挟みつつ、5Fへの階段を降りる。

そこは、森の中のような様相で、視界が悪かった。

羽音がして、キラービーの集団が襲い来る。

ガイがまず前に出て、敵の攻撃をガード。

そこにルビアが複数範囲の攻撃技を放った。


「ファイヤーボール!」


焼け焦げるキラービー。煙の中から打ち漏らした個体が出てくる。そこを一閃。イクトの剣で、キラービーの首が落ちる。残りはテッサが仕留めていた。


森の中、僕達は進む。

ガイが釣ってきて、ルビアの炎が視界を焼く。

生き延びた個体を狙って矢を放つ。命中。他の個体はイクトの剣で一閃され、息絶えていた。

さらに進む。

集団で10匹程のキラービーも、危なげなく討ち取った。魔石を取り、蜂蜜を拾う。


セーフティエリアに到着した。

水を飲み干し、おやつにキャラメルを食べる。

ちょっと足りないと思ったので、ゼリー飲料も追加。皆喜んで飲んでくれた。


暫く休憩した後、エドさんは僕達に言った。


「じゃあ、これから5Fのボス部屋へ行こう。昨日も倒したが、水打ち熊は動きが素早く、水魔法を使ってくる。なるべく早く倒すように」


「はい!」


僕等は一斉に頷いた。

立ち上がり、ボス部屋を目指す。


キラービーは集団で襲ってくる。それをガイがいなし、ルビアが魔法を放つ。僕は飛んでいるキラービーの背中目掛けて矢を放つ。地に落ちた後は、イクトとテッサが仕留めてくれる。

倒し終わり、魔石を取り出し、蜂蜜を拾う。


その後も戦闘を交えつつ、ボス部屋の前についた。


ガイが合図し、中に入っていく。

次いで、イクトとテッサが突っ込んでいった。

僕とルビアは背後にいる水打ち熊目掛けて攻撃する。ルビアの詠唱が聞こえる。弓を引き絞り、矢を放つ。首に命中。怯んだ隙に、イクトによる一閃。首が落ちていた。水打ち熊はもう一体いる。ガイに何度も魔法を打ち、それを盾で防がれる。僕は弓を引き絞り、首目掛けて矢を放った。命中。こちらに気を取られた隙に一閃。首が落ちた。


「ファイヤーボール!」


50体ほどいたキラービーも、随分数を減らしている。視界に紅蓮の花が咲き、キラービーがぼとり、ぼとりと落ちていく。


残りは、キラービークイーンだ。

僕は背を狙って矢を放つ。二発命中。地に落ちた。まだ息はあったが、一閃。イクトによって討ち取られた。残りのキラービーは、テッサが仕留めていた。


倒し終わり、魔石を取り、蜂蜜を拾う。キラービークイーンの落とした飴は、相変わらずとても美味しかった。みんなで食べたよ。


あとは5Fをぐるっと回って、帰ることにする。


キラービーは蜂蜜を欲しいだけ倒すことになった。皆で分配する為に、少し多めに狩っていく。


キラービーの羽音がする。団体さんのお越しだ。ルビアが丁寧に炎で包み、ぼとり、ぼとりと落ちていく。そして、一閃。イクトにより打ち取られ、わっと逃げ出すところを弓で一体ずつ地に落としていく。落ちた個体はテッサが仕留めてくれた。


そんな戦闘を繰り返し、水場に出る。

いた。水打ち熊だ。

すぐに矢を引き絞り、首目掛けて放つ。

水打ち熊は攻撃を仕掛けるがいなされ、肉薄していたイクトによって首を落とされた。


水打ち熊は魔石を取って、一頭丸ごと収納する。これで合計3頭だ。熊の手ステーキにしても人数分確保できて、一安心だ。出来れば右手が良いので、他にもいないか探す。いた。

水打ち熊を見つけて、僕達は襲いかかる。弓を引き絞り、首目掛けて弓を放つ。命中。そして一閃。イクトによって首が落とされた。


水打ち熊はこれで4頭だ。皆に聞くと、熊の手ステーキがいらない人はいなかったので、手だけ先に落としておいた。ルビアが3人分欲しいとのことである。丁度あるので、皆で快諾した。


その後もルビアの快進撃は進んだ。

ルビアは自身の能力が上がっていくのを肌で感じる事が出来た。

木々の深い森の中、ダンジョン以外では出来ない破壊行為。その魔法が、襲い来る侵入者を次々と焼いていく。

敵を狩り取る快感が、幼き破壊者の胸を満たす。

集団で襲ってくるキラービーに対してルビアは、更なる敵を求めて複数範囲の魔法技を放った。


「ファイヤーボール!」


視界に紅蓮の花が咲き、ぼとり、ぼとりとキラービーが落ちていく。僕は、生き延びた個体を狙って弓を放つ。命中。地に落とし、一閃。イクトの剣によって、首が落ちる。打ち漏らしはテッサが丁寧に仕留めていた。


ぐるりと5Fを周り、随分キラービーを倒したが、水打ち熊はもういなかった。


「随分、蜂蜜集まったよねーっ」


ルビアが上機嫌でそう言う頃、キラービーの蜂蜜は200を越えていた。そろそろいいだろうと、地上に戻る事になった。


エドさんの後ろについて、地上を目指す。

途中、戦闘を交えたが、問題なく討ち取っていた。


地上に出て、まずは冒険者ギルドを目指す。

日はもう落ち掛けており、冒険者ギルド内もごった返していた。僕とエドさんが入り、素材買い取りの列に並ぶ。

順番が来て、僕は売らないもの以外を全て出した。

高いものは、ギガントグリズリーが金貨1枚、サンドゴーレムが落としたルビーが金貨3枚、ソードゴブリンの宝剣が金貨3枚と、ゴブリンキングの首飾りが金貨5枚。水打ち熊は手がないので、4頭で金貨4枚だった。細かいものを合わせて、全部で金貨37枚。一人約金貨6枚の報酬だ。


僕等は宿に戻り、客室でしばし休憩した。

分配金も支払い、僕もひと息ついた。


さて、夕食である。

食堂の席に着き、料理を待つ。

今日のメニューは、ミノタウロスのステーキだった。

ナイフを入れ、口に入れると肉の旨味がめいっぱい口に広がる。

肉の脂がじゅわっと溶けて、最高に美味しかった。

香辛料が効いたお肉はバケットと相性が良く、ぱくぱくと食べてしまった。


デザートは、チーズタルトだ。

ぱくりと食べると、濃厚なチーズの風味がトロリとしたケーキに調和していた。


食べ終わり、部屋に戻る。

明日は、デザートを探しに行きたいところである。

お店の心当たりを聞く為、エドさんの部屋へ行く。

ノックをすると、イクトがドアを開けてくれた。


「おう、どうした?」


「エドさん、北通りに美味しいデザートのお店はありますか?」


「ああ、あるぞ。このへんだな。うまいがその分高い。金貨数枚はするからな」


エドさんは簡単な地図を書いて、場所を教えてくれた。


「明日行ってみようと思う。皆を誘うけど、イクトも行く?」


「うん!」


イクトは良い笑顔で頷いてくれた。


お読みいただき、ありがとうございました。


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