表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
78/105

ダンジョン、再び

お店を出て、宿屋へ向かう。

行く先は、アグニさんに教えて貰った宿屋だ。

たどり着き、中へ入る。


「6名だが、空いてるか?」


「3部屋で良いかい。じゃあ、上に上がっとくれ。夕食付きで一人銀貨4枚だよ」


お会計を済ませ、二階へ上がる。


壁はベージュ系で、カーテンは落ち着いた緑色だった。

僕と相部屋はガイだ。


「あー、クラーケンうまかった。カッスィー、クラーケンの仕入れは多めにしようぜ」


「1匹丸ごと仕入れるつもりだけど、足りないかな?」


僕は1匹が大人一人分位大きいことを身振り手振りで伝えたが、ガイの表情は晴れない。


「丸ごと2匹でいいんじゃね? 余ったら食堂で買い取って格安販売するよ」


「なるほど。そう言う事も出来るんだね。じゃあ、丸ごと2匹仕入れちゃおうかな」


僕がそう言うと、ガイはニコニコと笑って頷いてくれた。


今日はダンジョンに行かないので、時間がある。

おやつ時になり、小腹もすいてきたので、屋台めぐりをしようと提案する。

ガイはすぐに了承し、ルビア達の了承も取り付けて来てくれた。


「俺は後ろからついて行くから、好きに動いていいぞ。先頭はガイか?」


「おう!」


ガイは元気一杯に返事をして、歩き出した。

それに皆でついて行く。


まず初めに止まったのは、肉串の屋台だ。

タレの香ばしい匂いがたまらない。肉はダンジョン産の猪で、1本銅貨5枚を支払った。

焼き立てアツアツを頬張ると、肉の油と旨味がタレと一緒に口の中一杯に広がる。文句なく美味しかった。


次に止まったのは、サンドイッチの屋台だ。

丸く焼いたパンに、野菜と水蜥蜴の尾の肉をサンドしているらしい。

値段は銅貨5枚、水蜥蜴は強そうだが安値である。

これはガイとイクト、エドさんが買って食べてみた。

肉は細かく叩かれており、柔らかい。

肉の味はクセがなく、あっさりしているらしい。

鶏肉のハンバーグみたいな味だろうか。

食べ終わり、次の屋台へ行く。


次の屋台は、キラービーの蜂蜜を使ったクレープだ。銅貨5枚を支払い、クレープを受け取る。

バターの塩味と蜂蜜が合っていて、とても美味しかった。


次はルビアの希望で、デザート探しだ。

屋台は色々あるけれど、デザートはなかなか見つからない。

これはどうかな、と思ったものは、キラービーの蜂蜜に漬けた蛙の目玉だったり、馬の尾だったりした。料理に使うと美味とのことである。


少し外れた所で売っていたナッツの焼き菓子を買って、パリパリと食べる。これは10枚で銅貨5枚でお買い得だった。ルビアも嬉しそうに食べていたよ。


次は僕の希望で、蛙料理。串焼きもあるし、煮込み料理も、サンドイッチもある。

僕は火蛙の煮込みを買ってみた。一杯銅貨5枚。具は少なめである。

フォークで割ってみると、まず、柔らかい。そこそこの弾力はあるが、噛むとスパイスの効いた身が解けて、口の中いっぱいに旨味が広がる。なるほど、身は淡白な味なのだろう。たっぷりのスパイスを揉み込んで揚げたものを煮ているという。濃い味付けが丁度良く淡白な火蛙と調和していた。


次は、エドさんの希望で、ミノタウロスの串焼きだ。これは全員食べたがった。お値段なんと銀貨2枚。屋台にしてはお高い値段である。

会計を済ませ、肉が焼けるのを待つ。

何とも美味しそうな匂いがしてくる。焼きあがったものはボリュームたっぷりで、脂身がじゅうじゅうとこぼれ落ちていた。


「美味しい!」


みんなの心は一つだった。かぶりつくと、脂身たっぷりの赤身肉が口に入る。あまり噛まずとも蕩けていくお肉だが脂っこいことはなく、すっきりとした脂だ。ガツンとした肉の旨味に脂身の美味しさが加わり、えもいわれぬ美味しさだった。


あっと言う間に食べきり、そろそろ宿屋へ戻る。

宿屋は中央街から左、一本奥に入ったところである。

部屋に戻り、一息つく。


僕は皆に紅茶を配って、食後のお茶を楽しんだ。


一時間ほどして、夕飯の時間である。

食堂へ行き、皆で席に着く。

運ばれてきた今夜のメニューは、ミノタウロスの煮込みだった。

肉はほろりと柔らかくジューシーで脂身たっぷりなのに、ちっともしつこくない。

人参、じゃがいも、インゲン豆と一緒に煮込まれたお肉は煮汁がとっても美味しくて、パンを浸して食べた。


デザートは、宿屋特製チーズタルトだ。

オーブンで焼きたてのチーズタルトはアツアツで、チーズが伸びてとても美味しそうだ。

一口食べると、チーズの力強い旨味がガツンと来て、とろりと濃厚なケーキの旨さが味わい深く、ぱくぱくと食べてしまった。


「明日は8時に朝食を頼んであるから各部屋で摂るように。休憩を挟んで、9時に出発する。宿屋の前で集合する。いいな。それじゃあ解散しよう」


僕達はエドさんの号令で解散し、部屋に戻った。


部屋に戻った後は、湯を貰い、固く絞った布巾で軽く体を拭き、歯ブラシをして就寝した。


翌朝、朝食を済ませ、9時に宿屋前に集合する。


「皆、揃っているな。では、ダンジョンに向かう。俺が先導するからついて来い。殿はイクトだ」


「はい」


イクトが返事をすると、エドさんが進み出した。そこにガイ、僕、ルビア、テッサ、イクトの順だ。


暫く歩くと、洞窟のような場所についた。

入り口で入場料を支払い、ドッグタグを見せる。あっさりと中に入れた。


地下への階段を歩いていく。

あたりはぽつぽつと灯りがついており、そこそこ明るい。

地下1Fに出てくるのは、血吸い蝙蝠である。

パタパタと近寄って来るのを弓でいなし、火魔法で焼く。

ガイとテッサは落ちてきたものを仕留めているが、イクトは違った。

パタパタと襲い来る血吸い蝙蝠に対し、するりと剣を抜き、一閃。ぱたりと真っ二つになった血吸い蝙蝠が落ちる。

無駄な動きがないのだ。剣を抜くと獲物が落ちている。

それを二度、三度と繰り返し、ガイが感嘆の声を上げた。


「すっげぇ、イクトってめちゃ強いんだな」


「無駄な動きがないよな。俺と大違い」


「これなら、4F行けるんじゃない?」


「俺のスキルは【鍛冶職人】だが、鍛冶職人にならないのなら剣士になれと、父には言われている」


「やっぱり、凄いんだな」


「イクト、思ってたより良い戦力だな。じゃあお前達、4Fまで突っ切って行くから、ついて来いよ」


僕達はエドさんについて、地下2Fにたどり着いた。


ここには、骨の魔物、ボーンアンデッドが出る。


ボーンアンデッドはこちらに気付くと、ボロボロの剣を振りながら近付いてくる。

それをガイが受け止め、打撃を与える。

すると、バラバラと崩れていく。


次から次へと戦っているが、イクトは相変わらず一閃で仕留めている。骨の魔物なのにどこを狙っているのか、と聞くと、魔石のある場所だという。

一度真似して剣を突き刺してみたが、絶命しなかったので、真似するのをやめた。


イクトの殲滅力が高いので、自然とスピードが上がる。あっと言う間に地下3Fだ。


そこは、開けた山のような場所だった。

ここには砂の魔物、サンドゴーレムがいる。


ここの魔物も、イクトは一閃して倒していた。

最早、心強い味方である。


「あらよっ! 次、2体!」


「右から来てる! ファイヤーアロー!」


「よし、倒した。次は?」


そこそこ敵がいるため、ある程度殲滅してから休憩となった。


皆でゼリー飲料を飲み、一息つく。

この階はセーフティエリアがないので注意が必要だ。

すぐに戦闘体制に戻り、4Fを目指す。

お読みいただき、ありがとうございました。


もし面白い! 応援してるよ! と思ったら、


↓の★★★★★を押して応援してくれると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ