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旅支度

客室で服を着替えて、テッサを待つ。

まだ歌劇の余韻でぽーっとする。

手持ちのお茶を飲みながら待つこと暫し、いつもの灰色のツナギに栗色のショートカット。

テッサが戻って来た。


「僕はドレスを着ていなくても、テッサは春の女神様みたいだと思うよ」


「歌劇に酔ってんだろ。でもまあ、ありがとな」


テッサは照れてるみたい。

珍しいよね。


着替えを済ませ、ミラノさんと合流した僕等は帰路についた。

護衛は、いつもの"緋色の鐘"の皆さんだ。


「じゃあ、初歌劇、楽しめたんだな」


リーダーのアグニさんがにこやかに言う。


「はい、面白かったです。服はみんなきらきらで格好良くて、歌が上手でした」


「私はね、カーリエがずぅっと王子様を想い続けて、それが叶うのが凄く良いの」


「タリさんも、『カーリエの恋』を観たんですね」


「ええ。テッサはどう? 楽しめた?」


「面白かったよ。カーリエがずっと恋を諦めずにいるとこが良かった」


「楽しめたなら良かったわ。ミラノさんも満足そうで何よりね。来月からは花組の公演で、演目が変わるから、チェックしとくと良いかもよ」


「へえ。覚えとくよ」


テッサはそう返事をした後、来週のお茶会の護衛の打診を始めた。


「ああ、いいぞ。予定を開けておく。いつものように冒険者ギルドに指名依頼を出してくれ」


「わかった」


エドさんに頼まなきゃな、というテッサに同意する。

僕も、キャロ師匠に魔導アイスクリームメーカーを頼まなきゃいけないんだ。異世界市場の分だね。


その後、平穏無事にティティー村へ到着する事が出来た。

ミラノさんが依頼完了のサインをして、解散だ。


今日"緋色の鐘"の面々は、ティティー村の食堂で飲んでいくそうで、足取りは楽しげだった。


家に帰り、旅装を解いて寛いでいると、夜ご飯の時間になった。


身支度を整え、食堂に入る。

上座に、父さんと母さん。こちら側に僕。


「さて、晩餐を始めよう」


父さんの合図で料理が運ばれてくる。


メニューは、イカフライ定食。持ち帰って来たばかりのクラーケンの身を使った逸品だ。


「な、なんとかぐわしき香りだ。身は甘く弾力は心地良い。私もいかは好きだが、このいかはジューシーで特別うまいな」


「本当に美味しいわね。カッスィーは将来、美味しいものばかり仕入れて来るかもしれないわね」


「ダンジョン素材はちょっと高くつくんだ。でも、その分美味しいでしょう? 僕、いかは好物だから貯めていたお小遣いで買ってきたんだ。将来はもっと色んな素材を仕入れられるよう、頑張るよ」


「ええ。楽しみにしてるわ」


僕も美味しいイカフライを堪能したよ。明日は煮込みが出来るってミラノさんが言うので、皆を呼んでお昼ご飯を食べる事にする。


デザートは、苺パフェ。

底から、ヨーグルト、コーンフレーク、苺アイスとバニラアイスの上に、たっぷりの苺とホイップクリームでデコレーションしてある。


「苺アイス、苺がたっぷりで美味しい」


「苺が新鮮で美味しいわ。カッスィーが旅立つと食べられなくなってしまうわね」


「それは仕方がなかろう、フアラ。食堂の方もメニューを見直さないといけないな」


食堂のニネさん夫婦には、もう話をしてある。

氷室にはアイスクリームがいっぱいだし、常温保存が可能な食材は食堂だけでなく、村長宅の倉庫にも積み上げてあった。

これで、三ヶ月は余裕で賄えるはずである。

魚介類やフルーツは手には入らなくなるが、他は概ね在庫があるし、満を持して蕎麦、うどんの麺類とお餅のメニューがお披露目になる。

新メニューの真新しさに、魚介類やフルーツが食べれないことなど、そんな小さな不満はどこかに飛んでいきそうな勢いであった。


もうすぐ春が来る。

僕の旅支度は師匠が用意してくれているので、何も用意していない。

まずは王都へ行くそうだが、詳しい事はわからない。

不安が募るが、仕方ない。

カミーラ師匠についていき、出来ることを頑張ろう。


食後のお茶を頂き、解散となる。


僕はゆっくりとお風呂に浸かって、牛乳を飲んだ。歯磨きをして、就寝する。おやすみなさい。



翌朝、朝食後。

僕はテッサとガチャの準備だ。

まずは砂時計を倒していく。


【ログインボーナス・143日目】

【緑茶を手に入れました】

【ガチャ回数券が9枚あります】

【1回ガチャを回しますか? Yes or No】

【砂時計を獲得しました】

【砂時計を倒しますか? Yes or No】


砂時計を倒しますか? Yes を押して、砂時計の絵がくるりと回り、砂が落ちていく様を眺める。

30秒経って砂が落ちきり、【ガチャ回数券を3枚手に入れました】と表示が出た。


これにより、メッセージは以下のように変化した。


【ログインボーナス・143日目】

【緑茶を手に入れました】

【ガチャ回数券が12枚あります】

【1回ガチャを回しますか? Yes or No】

【10回ガチャを回しますか? Yes or No】


ガチャ回数券が12枚になり、10回ガチャを回せるようになった。


10回ガチャを回しますか? Yes を押して、丸い絵がぐるぐると回るのを眺める。

10枚カードが出てきて、順番に並んだ。

今回は、白いカードが8枚に青いカードが1枚、赤いカードが1枚だった。


カードに触れて、出て来たものを受け取っていく。

今回の成果は、ファウト鋼6個と魔導コイル2個とルビー1個、ミスリル1個だった。


「ミスリルが出て嬉しいよ。買いに行くより安いからな」


「そう言えば、ヤッコムさんの剣、すごい値段がついてたね。やっぱり凄い腕前なの?」


「ああ。腕が良くねぇと、付与は付かねぇんだ。しかも素材がミスリルだと難易度が高すぎて俺には無理だ。鉄でも難しいってのに、凄いと思うよ」


真剣なテッサの顔に、僕も頷いた。


「さすがテッサのお父さんだよね。妥協を許さない感じがそっくりだ。魔具職人の修行は順調なの?」


「今、魔導扇風機っていうのを作ってる。ちょっとでもズレるとガタガタになっちまうんだ。それと、金策で魔導アイロンも作ってるぜ。カッスィーのおかげで魔導コイルの在庫もあるし、助かってるよ」


「それは良かった。僕、旅に出ている間はガチャを回さないからさ。帰ってきた時にまとめて回させて欲しいんだ。一度戻ってくるまで約三ヶ月だから、だいたい30回位一気に回す事になるんだけど、良いかな?」


「良いぜ。金は貯めとくし、親父にも言っておく。20個以上ミスリルが出そうだしな。それと、またヒヒイロカネが出たら良いよな」


「そうだね。出たらまたオークションで売って貰おう」


僕達はお金があったら何をするか話し合った。


僕は、クラーケンを丸ごと一匹買うこと。それと、美味しいと噂のミノタウロスも一頭買いたい。ミラノさんに料理して貰うんだ。


テッサは、マジックバッグが欲しいんだって。


うん。僕達頑張ったら達成出来そうな夢だよね。焦らず頑張ろう。


テッサは鉱石を抱えてホクホク顔で家に帰った。

お昼にはガイとルビアを呼んで来てくれるそうだ。


母さんに宝石を預けて、自室に戻る。


僕は久しぶりに弓を手に取り、家の裏手に向かった。

お読みいただき、ありがとうございました。


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