表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/105

ヒヒイロカネ

今日は雪が降っていて、とても寒い。

そんな中、テッサは元気良くやってきた。

朝食後、丁度ガチャをやろうと思っていたので、ナイスタイミングだった。


「さぁて、今日は何が出るかな~」


テッサはあれからもう2週間位経っているのに、ずっと上機嫌だ。

ヤッコムさんとエルゥさんにも話し、正式に魔具職人の師匠を得ることを認めて貰えたのだ。

テッサの喜びようは物凄く、もう一度熱を出した位である。


僕と言えば、もうそろそろ異世界市場のルカート店が開店する頃なので、一度見に行きたいと思う今日この頃だ。

後一週間で納品日なので、お店も見に行けるのではないかと思っている。


さて、まずは時計を倒していくよ。


【ログインボーナス・103日目】

【緑茶を手に入れました】

【ガチャ回数券が9枚あります】

【1回ガチャを回しますか? Yes or No】

【砂時計を獲得しました】

【砂時計を倒しますか? Yes or No】


砂時計を倒しますか? Yes を押して、砂時計の絵がくるりと回り、砂が落ちていく様を眺める。

30秒経って砂が落ちきり、【ガチャ回数券を3枚手に入れました】と表示が出た。


これにより、メッセージは以下のように変化した。


【ログインボーナス・103日目】

【緑茶を手に入れました】

【ガチャ回数券が12枚あります】

【1回ガチャを回しますか? Yes or No】

【10回ガチャを回しますか? Yes or No】


ガチャ回数券が12枚になり、10回ガチャを回せるようになった。


10回ガチャを回しますか? Yes を押して、丸い絵がぐるぐると回るのを眺める。

10枚カードが出てきて、順番に並んだ。

今回は、白いカードが8枚に青いカードが1枚、赤いカードが1枚だった。


カードに触れると、中の絵が露わになり、岩のような絵が見えた。そして虚空からファウト鋼が出てくる。

これを繰り返し、今のところファウト鋼6個、魔導コイル2個、エメラルド1個で、あとは赤いカードだけだ。


カードに触れると、岩のような絵が見えて、虚空からものが出てくる。


僕は一瞬、声にならず、小さな声で言った。


「ヒヒイロカネって出てたけど……テッサ、どう?」


見た目は銀色をしているので、よくわからない。


「おおすげぇ! ヒヒイロカネだ!」


やはり、希少金属のヒヒイロカネで間違いないらしい。


「ヤッコムさん、使ってくれるかな?」


「絵本に出てくるもんな、ヒヒイロカネって。俺は使うと思うんだけど、即答出来ねぇや。とりあえず、持って帰ってみるわ」


「うん、気をつけてね」


テッサは上機嫌で帰って行ったんだけど、やっぱり、そう簡単な話ではないようだった。


なぜなら、重苦しい雰囲気のヤッコムさんとエルゥさんが村長宅へ現れたからだ。


父さんにはヒヒイロカネが出た事を言ってある。

その時の父さんの顔は苦笑いだった。


「素晴らしいものが出たのね。凄いわ」


そう言ってくれたのは、母さんだった。


ただし、宝石よりも随分高い値段がするものだから、取り扱いには注意しましょうね、と真剣な顔で言われた。

僕はしっかり頷いたよ。


父さんと母さんはヤッコムさんとエルゥさんと応接室に入っていった。


僕は自室にいたけれど、なかなか話し合いは終わらないようだった。



昼時になり、食堂へ行く。

今日のメニューは、ハンバーグ定食だ。

お肉は丁寧に叩かれており、口に入れると柔らかく、たっぷりの肉汁が溢れ出す。僕の大好きなハンバーグの味だ。ぱくぱくと食べていき、味噌汁をすすってご飯を食べる。

今日の味噌汁の具は豆腐とわかめだ。豆腐はミラノさん自家製。完全には再現出来てないそうだけど、とっても美味しかった。


デザートは、苺のロールケーキ。

たっぷりの苺と生クリームをロールケーキが包んでいる。

フォークで端っこから少しずつ食べていく。

苺の酸味と甘味を楽しみつつ、クリームを食べる。柔らかなスポンジと甘いクリームが物凄く美味しかった。


食後のお茶に、珈琲を淹れて貰い、ミルクと砂糖を入れて飲む。

香ばしい良い香りが広がり、少し苦い味わいを楽しんだ。


昼食後、教会へ行き、勉強をする。

今日は地理だ。ティティー村はラグナスティール王国の西に位置していて、森と山に囲まれている。東にルカート町、北東にトーミ町がある。南東にも町があり、他にも小さな村が幾つかある。

王都はずっと東にあるそうだ。


町の名前は全部覚えられなかったけれど、ちょっとは賢くなっただろうか。

これからも勉強は続けて行こうと思う。


家に帰ると、父さんに呼ばれた。

応接室へ行くと、机にヒヒイロカネが置いてあった。

それと、三本の剣が横に置いてある。


「父さん、ヤッコムさんは打たないって?」


「ああ。場合によっては、このヒヒイロカネは白金貨までいくらしい。それに、鍛冶師にとって夢の素材だからこそ、腕の良い鍛冶師に打って欲しいんだそうだ。見せてくれてありがとうとお礼を言われたよ」


「そんなにすごい素材なんだね。じゃあ、ハイド男爵家に売るの?」


「ああ。あとこのミスリルの剣だが、金が入り用なので、売ってきて欲しいとのことだ。恐らく、テッサの師匠に渡す金を工面してるんだろう。ハイド男爵には手紙を書く。一週間後の交易の際、これらを売ってきてくれるか、カッスィー」


「わかったよ。マジックバッグに入れておくね」


僕はヒヒイロカネと剣を受け取り、マジックバッグへ仕舞った。


用事が終わったので、食堂へ行き、おやつを食べる。


今日のメニューは、たい焼きだった。

尻尾までたっぷりあんこの入ったたい焼きだった。あんこがとっても甘くて、凄く美味しかったよ。


たい焼きって、片手で食べれて美味しいよね。

屋台にしたらどうかな。

屋台の甘味って、クレープ位しか見かけなかったし、売れそうだよね。

ハイド男爵家にレシピは売るとして、こういう屋台をジネット達に任せたらどうだろうか。


誘拐された時に、お世話になった孤児院。

特にジネットとイエーモ、マリとエーテの事は、今でも忘れられない。


ギーザという孤児院出身の男が誘拐を働き、潜伏先として孤児院を選んだ。孤児院のシスターは警邏を呼ばず、共に罰を受ける道を選んだ。


孤児院が貧乏な理由は、シスターが罰金刑を受けたからだ。

ジネットとイエーモは納得しているようだったが、たまにお肉が食べれる位の贅沢はして欲しい。

ジネットは10才を越えているらしかったし、異世界市場の客引きもしてくれると助かる。


材料は、小豆、砂糖、小麦粉かな?

仕入れ値や売り値に関してはミンバ店長を頼ろう。



三日後、カッペラード様から返事が来て、まずヒヒイロカネはオークションに出す事になった。剣に関しては武器商の人を呼んで、買い取って貰う。

一応、ヤッコムさんに了承を貰って、剣を二本追加で持って行くことになった。


それから数日経って、交易の日当日。

今回も護衛は"緋色の鐘"の皆さんだ。

リーダーのアグニさんに、水魔法使いのタリさん、盾持ちのメローさん、治癒師のウズさん。


今日はうちのランダさんではなく、メローさんが御者を務める。

馬車の中に、アグニさん、タリさん、ウズさんが乗り込んだ。

マジックバッグを腰につけたミラノさんと僕、そしてテッサが乗り込み、アグニさんの号令で出発する。


「出発だ!」


馬車が動き出し、一路、ルカート町まで走っていく。


「へぇ。マジックバッグを使うようになったのね。凄くいいと思うわ。ただ、護衛はしっかり付けないと駄目よ」


タリさんからそんな忠告を貰ったのは、休憩時に紅茶を出した時だった。


「マジックバッグが貴重品だからですよね」


「そうよ。商人の子供なんかはマジックバッグを持ってることが多いけれど、それを狙った盗賊も出るからね」


「うへえ。カッスィーってどこ行っても危険だな」


「そうよテッサ。だから私達みたいな冒険者が必要になるの」


休憩が終わり、また馬車に乗って走っていく。


一時間程経ち、ルカート町のタウンハウスに到着した。


そこで、アグニさんにまたお弁当を売って欲しいと頼まれた。

チーズチキンカツ弁当が気に入ったんだそうだ。

僕は快諾し、銀貨2枚と引き換えにチーズチキンカツ弁当4つをアグニさんに手渡した。

ほかほかのお弁当を抱えて、"緋色の鐘"の面々は使用人用の控え室に消えていった。

お読みいただき、ありがとうございました。


もし面白い! 応援してるよ! と思ったら、


↓の★★★★★を押して応援してくれると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ