自分が一番食べたいパフェ
夕飯のブイヤベースはとっても美味しかった。
父さんと母さんも絶賛で、魚介類を出せるようになってよかった、と思ったよ。
それと比例して、生鮮食品店でいろんなフルーツが出せるようになったんだ。
「こりゃありがたい。ティティ村ではキイチゴくらいしか採れませんからね」
「季節関係なく買えるみたいで、苺だけじゃなく、スイカや桃、パイナップルもあるよ」
「どれも美味しそうですね。じゃあ桃をお願いします。今作ってるパフェに丁度よさそうだ」
というわけで、デザートは桃のクリームパフェ。
桃の果肉に、バニラアイスとたっぷりのホイップクリームがトッピングされている。
桃は甘いけどさっぱりしていて、バニラアイスとホイップクリームが甘くて丁度良かったよ。
「桃がうまいな」
「ホイップクリームやアイスと合いますね」
「とっても美味しいっ」
テッサおすすめはマンゴーというフルーツで、そのまま食べてもとっても美味しいそうだ。
なんと1個金貨1枚するんだ。
買ってよいか聞いてみたら、みんなで一緒に食べなさい、だって。
今度パフェのお披露目会があるからその時にしよう。
「ミラノさん、パフェのお披露目会はいつ?」
「じゃあ明日にしましょうか。注文を受けているパフェと、マンゴーを食べましょう」
「やったー! じゃあ、3時に皆を連れてくるね」
夕食が終わり、僕は自室へ帰って早めに就寝した。
「あら、マンゴーって本当に美味しいのね」
フアラはまったりとした甘さのマンゴーに心奪われ、ゆっくりと息を吐いた。
カッスィーが寝ている間に、大人たちはマンゴーの試食会を行っていた。
「明日はマンゴーパフェを旦那様と奥様にはお出ししますよ」
「それは楽しみね。このまま食べてもこんなに美味しいんだもの。パフェにしたらきっと美しいわね」
「ああ。明日が楽しみだな。カッスィー達もマンゴーを気に入るだろう」
「値段が高いことがネックですが、実に美味しい果肉です。もう少しお食べになりますか?」
「頂くわ」
「もらおう」
美味しいマンゴーに舌鼓を打ち、大人たちの夜も更けていくのであった。
翌日、おやつの時間にみんな勢ぞろいで集まっていた。
僕とテッサ、ルビアとガイである。
みんなで食堂へ向かい、席に着いた。
今回注文したパフェは皆、自分が一番食べたいパフェ。
ミラノさんはまずルビアの分のパフェから持ってきた。
「うわぁ。キレイ」
クッキーチョコアイスとナッツチョコアイスの2段重ね。それと飾り切りの美しいフルーツ。デコレーションのクリームもチョコレートクリームで、ブラウニーと苺が乗っている。仕上げにチョコレートソースがかかっていた。
ルビアのオーダー通り、どこまでもチョコを追求したチョコレートパフェだ。
次はガイの分が配膳された。
ガイのオーダーはティティ村特産アマイモのモンブランパフェ。
アマイモアイスにホイップクリーム、頂上には大学芋のチップが乗っている、お洒落なパフェだ。
「うまそうーっ」
次はテッサ。抹茶アイスにあんことホイップクリームを詰め込み、頂上にはどら焼きが乗っている抹茶パフェ。
「あんこがたっぷりでうまそう」
次に僕の分。苺アイスに柔らかなスポンジとホイップクリームを乗っけて、苺をトッピングした苺のショートケーキパフェ。
「美味しそうーっ」
皆で一斉に食べ始め、その美味しさに頬を緩める。
「ほんと、美味しい。チョコが甘くて苦くて、クリームの甘さが丁度良いの」
「アマイモのモンブランパフェ。これはうちの特産としてメニューに入れるべき! うまい!」
「あんこと抹茶がうめぇ」
「ショートケーキは柔らかくて、苺アイスがちょっと固めで美味しかった」
皆大満足なパフェ達でした。
ここで第4回メニューに入れたい美味しいもの(仮)が始まった。
もとは勉強熱心なガイ発案によるものだが、アマイモのパフェ以外にもメニュー入りさせたい食べ物はいくらでもある。
「やっぱりぜんざいは外せない」
「お揚げをのっけた蕎麦かうどんを選べるやつ」
「そうだ、俺の作ったアマイモのパウンドケーキも完成したんだ。メニュー入り間近だぜ!」
「おめでとう、ガイ。頑張ったね。アマイモのパウンドケーキ、食べたい!」
「また食堂でお披露目するよね。楽しみだ!」
次は春の開催だそうだ。待ちきれないね。
「お米はだいぶ普及してきたよね。うちもお米の日、普通にあるもの」
「お餅は全然だね。やっぱり食堂でメニュー入りさせたい」
「まず天ぷら蕎麦はどうだ?」
「今日のパフェ4種はどれもメニュー入りしてもおかしくないよね」
皆バラバラな意見が出る中、今日のパフェに関しては皆同意した。
一旦一息ついた時に、ミラノさんがお茶を淹れなおしてくれた。それで、
「今日はマンゴーがあるぞ」
と、ミラノさんが皆にマンゴーを配膳してくれた。
「うわぁ、綺麗なオレンジ色! 美味しそうっ」
「甘い匂いがする」
「これ、高いだろ。いいのか?」
「皆で食べなさいって言ってくれたんだ」
一斉にフォークを突き立て、マンゴーを口にすると……。
「なにこれ、すっごく甘い! 美味しい~っ」
「甘くてすげぇいい匂いだ」
「瑞々しくてうめぇ」
「これだけで立派なスイーツだね」
これはうまい、と4人とも大満足だった。
「マンゴーのメニュー入りはちょっと難しそうだ」
「美味しいけれど、高いもんねぇ」
「でも、うまかったな」
「贅沢プレートみたいに数量限定でどう?」
いつまでも終わる事のないメニュー決めの熱はなかなか冷めることがなく、結局ぜんざいからおすすめしてみよう、と決まるまでお茶を2回も入れなおして貰った4人だった。
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