納品とメンチカツ弁当
僕とテッサは休憩を終えて、しっかり上着を着込んだ後、氷室に来ていた。
シェリー様のアイスクリームを納品する為である。
とにかく数が多い為、従僕にも手伝って貰い、アイスクリームの塔を作っていく。
僕はとにかく数を出していって、テッサが数を数えて積んでいく。
それを繰り返し、夕刻には半数を納品することが出来た。
「今日はここまでだね」
「続きは明日だな」
客室で上着を脱いでいると、夕食に呼ばれた。
身支度を整え、食堂へ向かう。
中には皆が揃っていた。
ハイド男爵家の、カッペラード様。隣に、アフガンズ家の、シェリー様。
僕とテッサが席に着くと、カッペラード様が口を開いた。
「さぁ、夕食にしよう。寒かっただろうから、まずは暖かいスープからどうぞ」
「ありがとうございます。頂きます」
運ばれてきたのは、アツアツのミネストローネだった。野菜がたっぷりで、暖まる。
さっきまで氷室にいたから、これは美味しい。
カッペラード様の心遣いに感謝した。
次に運ばれて来たものは、マグロのカルパッチョだった。
生の魚は苦手だと思っていたけれど、ソースが良いんだろうか? とっても美味しく食べられた。
「これがマグロという魚だね。せっかくだから生で出させたんだ。私は美味しいと思うが、皆の口に合ったかな?」
「とっても美味しいわ。酸味のあるソースがいいわね」
「美味しかったです。レモンと合っていました」
「すげぇうまい。生のマグロを食べれるなんて、感動しました」
「それは良かった。では次にメインを頂こう」
次に運ばれて来たのは、アツアツの煮込みハンバーグだった。
デミグラスソースがいい匂い。
僕は早速フォークで頂いた。
「美味しいっ。お肉が柔らかい」
「デミグラスソースが合ってる」
「パンにつけても美味しいわ」
「ソースの味に深みがあるね」
お肉が濃い味なので、パンが進む。
皆大満足なメインだった。
デザートは、ベリーソースのブラマンジェ。
酸味のあるソースがとても合っていて美味しかった。
シェリー様はやはりと言うべきか、アイスクリーム5段重ねの苺パフェを食べていた。
美味しそうだけど、ちょっと寒々しい。
そんな事を思いながら食後のお茶を頂いていたら、あっと言う間に完食していたよ。流石だ。
「それでカッスィー。また私の部下達にお弁当を出して欲しいんだけど、良いかしら」
「はい。どんなものが良いでしょうか?」
「暖かくて珍しいものがいいわ。後はお任せね」
「では、海苔弁当はどうでしょうか? 先日ティティー村に来たシスターがノリベン、という言葉を大事そうに口にしていました。きっと珍しいと思います」
「あら、今日は自分で答えるのね。偉いわ。感心しちゃう。ノリベン、ね。聞いたことがあるわ。シスターは、転生者保護の使者ね。カッスィーは違ったの?」
「はい。僕は転生者ではありません」
シェリー様は少し考えて、うん、と頷いた。
「じゃあその海苔弁当を50個お願いするわ。転生者がこよなく愛するお弁当らしいじゃない。珍しくってとってもいいわ」
「じゃあ、出しますね」
僕は頷いて、虚空から出たお弁当を積み上げた。
「テリア、運んで頂戴」
「かしこまりました」
テリアさんがお弁当を運んでいくと、カッペラード様が口を開いた。
「じゃあ、今日はこれでお開きにしよう。また明日宜しく頼む」
僕達ははい、と返事をして席を立った。
そして、翌日。
朝食後、僕とテッサはアイスクリームの納品に勤しんでいた。
せっせと出し、積んでいく。
2時間程で終わり、ひと息つく。
「やっと終わったねー」
「お疲れさん」
ハイド家とアフガンズ家で合計6000個になる。
アイスクリームがぎっしり詰まった氷室は、壮観だった。
客室に戻り、少々ベッドで暖を取る。
気が済んだら、帰宅である。
ミラノさんと合流し、カッペラード様とシェリー様に挨拶をして、帰路につく。
「またね、アイスクリームちゃん達」
「またひと月後に会おう」
「はい、また来月に来ます」
馬車に乗り込み、タウンハウスを後にした。
ティティー村に着いたのは、お昼を少し過ぎた頃だった。
父さんと母さんに到着の挨拶をして、食堂で、ちょっと遅めの昼ご飯。
ミラノさんも今帰宅したばかりなので、控え室で一緒にお弁当を食べる事になった。
お弁当のメニューは、メンチカツ弁当。
お腹がすいていたから、がっつり食べれるメニューにしてみた。
衣はサクッと、中は肉汁たっぷりの挽き肉だ。
「美味しい! お肉が柔らかい」
「アツアツでうめぇ」
「中の玉ねぎがシャキシャキしてうまい」
3人共、大満足なお弁当だった。
次はデザートだ。テナントのケーキ屋より、季節のフルーツタルト。
苺とブルーベリーが沢山乗っている。
パクリと食べるとケーキの甘さとフルーツの酸味が口の中に広がった。
「美味しい。カスタードクリームの甘さとフルーツの酸味が丁度良い」
「甘くてうめぇ」
「カスタードクリームがうまい」
とっても美味しくて、大満足でした。
食事が終わると、ミラノさんは魚貝類の修練を積むとのことだった。
そしたらテッサが美味しそうなレシピを何個か言うんだもの。気になっちゃうよね。
今夜はブイヤベースだって。海老、貝、白身魚をたっぷり出したよ。
贅沢なスープが出来そうだよね。美味しそう。
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