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30秒ってけっこう長い

よく晴れた冬の日、僕のスキルウィンドウにはこんな文字が表示されていた。


【ログインボーナス・10日目】

【珈琲を手に入れました】

【ガチャ回数券が8枚あります】

【1回ガチャを回しますか? Yes or No】

【砂時計を獲得しました】

【砂時計を倒しますか? Yes or No】


昨日は砂時計を倒さなかった。そしたら結果はなにもなし。

今日は倒してみようと思う。

砂時計を倒しますか? Yesを押して、砂時計の絵が出て来る。砂時計はくるりと回り、砂が落ちてゆく。

その画面を眺めながら、待つこと30秒。数えていたらびったりだった。


【ガチャ回数券を3枚手に入れました】


この表示の後、僕のスキルウィンドウのメッセージはこう変わったんだ。


【ログインボーナス・10日目】

【珈琲を手に入れました】

【ガチャ回数券が11枚あります】

【1回ガチャを回しますか? Yes or No】

【10回ガチャを回しますか? Yes or No】


「テッサ、ガチャ回数券が11枚になって、10回ガチャを回しますか? が選択肢に増えたよ」


「じゃあ、10回ガチャをやってみるか」


「うん!」


10回ガチャを回しますか? Yesを押すと、丸い絵が出てきて、ぐるぐると回る。その後、カードが10枚並んで、順番に光っている。

色は白が8枚、青が1枚、赤が1枚。


僕は順番にカードを開いていった。ほとんど岩のような絵が描いてあり、絵を開くと虚空からものが出て来る。

受け取り、テッサに渡していく。白8枚の内訳は、ファウト鋼が6個と魔導コイル2個だった。


「次、青いカードを開くね」


「おう」


青いカードを開くと、宝石のような絵が描いてあり、虚空からものが出て来る。

つるりとした青っぽい石で、なんだか綺麗だ。


「アレキサンドライトだって。わかる?」


「多分、宝石。装飾用に買った方がいいか迷うな……」


「次、赤いカードを開くよ?」


「ああ。気合入れていけ!」


赤いカードを開くと、岩のような絵が描かれていた。虚空からものが出る。

これは僕でも聞いたことがあるかもしれない。


「ミスリルだって。これって鍛冶で使う鉱石じゃないかな」


「勿論使うけど、こりゃ金貨で取引するようなものだよ。品質も良いし、外に売った方が金になりそうだけど……うちの親父が絶対買うと思う」


「ルビアの親父さんに使って貰った方が絶対いいに決まってるよ。他の素材は、テッサが使うの?」


「ああ。勿論買わせて貰うぜ」


【ログインボーナス・10日目】

【ガチャ回数券が1枚あります】

【1回ガチャを回しますか? Yes or No】


僕は珈琲を受け取り、Noを押してスキルウィンドウを閉じた。

この珈琲、ブラックなんだよね。報告ついでに父さんに渡しに行こう。


父さんに報告を済ませ、アレキサンドライトは母さんにプレゼントすることにした。

母さんはとっても喜んでくれて嬉しかったよ。


これで、僕は毎日ガチャを楽しみにするようになったんだ。



毎日砂時計を倒して30秒待っているけど、結構面倒くさい。

忙しい時はNoで砂時計を倒さなくてもいいかもしれない。

だけどガチャ回数券3枚欲しさに、ぐっと我慢をして頑張ったよ。


【ログインボーナス・13日目】

【緑茶を手に入れました】

【ガチャ回数券が10枚あります】

【1回ガチャを回しますか? Yes or No】

【10回ガチャを回しますか? Yes or No】


「やった! 10回ガチャが回せるぞ!」


「はいはい。嬉しいのはわかったから回していこうぜ」


当然、テッサは隣にいる。お弁当の再現の為に早朝から仕事に来ているのだけれど、最近はガチャを見守って貰っている。


10回ガチャを回しますか? Yesを押して、出てきた丸い絵がぐるぐると回るのを眺める。

ややあって、10枚のカードが出そろった。今回は白いカードが9枚、赤が1枚だ。

順番にほんわか光るカードに触れて、1枚ずつ開いていく。虚空からものが現れて、それを受け取っていく。


今回の成果は、ファウト鋼が6つ、魔導コイルが3つ、ミスリルが1個だった。


テッサは大興奮で、全て買い取ると断言している。


「でもさ、テッサ。まだ魔具職人の修業は出来ないんでしょ。ファウト鋼、こんなにいっぱいあって困らない?」


「全然困らねぇよ。もし余ったら親父に渡すし、いくらでも出してくれていいからなっ」


「テッサのお父さんも使うんだ?」


「ナイフよりロングソードに使う素材だから、ナイフより数が必要なんだ。それと、ミスリルはまだ俺じゃ扱えないから、親父が使うんだ」


「そうなんだね。また4日後には10枚貯まると思うから、その時に期待しよう」


実際まだ2個しかでてないミスリル。これからもっと出る保証もない。


「魔導コイルも、鍛冶で全く使わないわけじゃないから、いくつ出てもいいしな」


「ほんとに役に立つんだったらそれ以上に嬉しいことなんてないよ。毎日30秒待つの、頑張るね」


「やっぱり、面倒くさいんだな。砂時計……」


実は面倒くさがってるの、バレちゃった。でも呆れてる感じじゃないな。やっぱりって感じ?


「ちょっとね。でも何が出るかわかんないし、楽しみだよ」


「俺は素材の入手、今カッスィー頼みだからさ。30秒待ってる間は一緒におしゃべりでもしてようぜ」


「うん、そうしようか」


僕たちは笑い合ってそう約束した。



4日後、メッセージはこうなっていた。


【ログインボーナス・17日目】

【緑茶を手に入れました】

【ガチャ回数券が12枚あります】

【1回ガチャを回しますか? Yes or No】

【10回ガチャを回しますか? Yes or No】


砂時計を倒した後、いつものようにガチャ回数券を3枚手に入れた。

それでスキルウィンドウの表示はこのようになっている。


僕は、10回ガチャを回しますか? Yesを押し、ガチャを回す。

結果は、白が9枚と青が1枚。ファウト鋼が7個と魔導コイルが2個、ルビーが1個だった。


「今回、はじめてルビーが出たね」


「そうだな。また母ちゃんにプレゼントするのか?」


「テッサは欲しいの?」


「装飾用ってんならうちで買うけど、最優先ってわけじゃないから」


「じゃあ、プレゼントにするね」


【ログインボーナス・17日目】

【ガチャ回数券が2枚あります】

【1回ガチャを回しますか? Yes or No】


緑茶を受け取り、Noを押してスキルウィンドウのメッセージを消す。


終わったその足で母さんにルビーを届けたんだけど、またすっごく喜んでもらえた。

でも次からは売りましょうね、って言われちゃった。

売り先はハイド男爵家になるだろうって言ってたよ。



お読みいただき、ありがとうございました。


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