みんな大好き中華丼
朝9時に集合した四人は馬車に乗り、御者のランダさんの横にエドさんが乗った。
ティティー村を出発して15分程度、開けた道にでた。
「道がひろーい」
「風が気持ちいいね」
遠くに山が見える。カッスィーは紅茶を出してルビアに渡した。まだまだ先は長いけれど補給係りをしっかりやろうと奮い立つ。
ペットボトルの飲み物の扱い方をテッサにレクチャーしてもらい、ひとり1本は飲み物を持つ。
ガイは緑茶を気に入ったようだ。
水分補給は万全である。
お昼時になり、馬車をいったん止めて休憩となった。
今日のお弁当は中華丼。
ミラノさんの再現ではないお弁当を食べるのは久しぶりだ。
具だくさんの丼をかっこんで食べる。
「おいしいっ」
「小さい卵が具として乗ってる。初めて見たけど、うまい!」
「白菜がシャキシャキして、タケノコの水煮と合ってる」
「具だくさんで腹に溜まるな」
「トロトロの餡がご飯に絡んでおいしい」
中華丼は皆に好評だった。
食後のデザートは、苺のショートケーキ。
お茶は紅茶を出した。
「うまーい」
「スポンジが柔らかくて食べやすい」
「酸味のある苺と合ってる」
「おいしい」
デザートも気に入ってもらえて良かった。
その後馬車を走らせて夕刻には野宿となった。
テントを立てて、眠る準備をする。
カッスィーは気を張っていた為か、疲れ果ててしまい、夕食はカツサンドとシュークリームを出して、急いで食べた後、すぐ眠ってしまった。
朝が来て、ガイに起こされた。
「ん……もう朝?」
「おはよ。エドさんたちも起きてるよ。あとはお前とルビア」
「テッサも起きてたんだね。さすが早いや」
「朝食の準備するからさ。どれ持って行けばいい?」
「じゃあオムライスを人数分持って行って。デザートはみかんゼリー。はいこれ。お茶は足りてる?」
「緑茶を出してくれ。あと水」
「私、ジュースがいい」
「今持って行くよ。顔洗ってくる」
カッスィーとルビアが身支度を終えた頃、朝食の準備も終わっており、一斉に食べ始めた。
「卵がトロトロフワフワでうまい」
「味がついた米は食べやすいな」
「やっぱりお米は慣れないですよね」
「いや、そんなことないぞ。食堂でも食べたし、何より旅の最中は珍しいものの方がうまく感じるってもんさ」
「そういえばそうですね。後どれくらいで着くんでしょうか?」
「このまま問題なく通れれば、昼前には着くぞ。昨日頑張った甲斐があったな」
「昨日はすぐ寝ちゃってすいません」
「いいさ。それにしても飯がうまいな。このみかんゼリーもさっぱりした甘さでうまい」
「気に入って貰えて良かったです」
食後のお茶を飲み、ひといき入れた後、馬車は出発する。
馬車に乗り込んだ僕達は、移動中のおやつを何にするか決めていた。
飴以外だとチョコレート、ナッツが入ったもの。
飴はルビア一押しで蜂蜜味といちごみるく味のどちらかにしようという話をしていると、いったん休憩となり、馬車から降りた。
紅茶、緑茶、ジュース、水を出して皆で休憩する。
そこに、僕たちの進行方向からやってきた馬車が止まった。
降りてきた人は商人らしく、もしかしたらティティー村に行くのかもしれない。
エドさんが話を聞くと、やっぱりティティー村にも行く予定だという。
それはどうやら別の町で食べたカレーライスに感動して、元祖カレーライスの店に食べに行く途中なのだという。
喜んだのはガイだ。
その食堂は自分の家なので、おいしいカレーが食べたいなら是非とも行くべきだとおすすめしていた。ついでに唐揚げも美味しいですよ、とカッスィーは追加しておいた。
お近づきのしるしに、紅茶と蜂蜜味の飴を渡した。
ものすごい勢いで仕入れ先を聞かれたが、ハイド男爵の名前を出すと諦めてくれた。
休憩がおわり、馬車に乗り込み出発。商人達とも別れた。
2時間ほどたつと、町の城壁が見えてきた。
ぐるりと囲まれた高い高い壁。
人集りがある場所へ馬車を進めると検問所が見えた。
ランダさんとはここでお別れだ。
「坊ちゃん達、頑張ってくだせぇ」
「ここまでありがとう。明後日、またお迎えお願いね」
「お任せくだせぇ」
ランダさんと別れ、検問所を通る。
ちなみにランダさんには蜂蜜味の飴をルビアが渡していた。
「ようこそ、トーミ町へ」
町にはいると、すごくにぎやかなざわめきが聞こえてきた。
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