ルビア一押し! プリンアラモード
ダンジョンの必須装備としてナイフが挙げられる。
実はこのナイフを作るための鉱石を求めているのだが、それはテッサの都合である。
今日はみんなでテッサのうちにナイフを買いに来た。
それと、テッサとカッスィーだけではおかしいので箸のオーダーを取っている。
「私はピンク色がいい」
「俺は水色。父ちゃんと母ちゃんのぶんも頼んで良い?」
「じゃあ、何色が良いか聞いといてくれる?ルギアもそれでいい?」
「わかった」
「でもガイの家で使うならお客さんの分も欲しいよね。うーん、大口だと俺じゃなくて親父の仕事になっちゃうけどいい?」
「いいよ。いつもテッサはカッスィーと一緒に楽しそうなことやってるだろ?一緒にやっと遊べて嬉しいよ」
「遊んでるんじゃなくて仕事なんだけどな~」
「テッサ、どれがいいかわかんないよ」
ずらりと並べられたナイフを前に、カッスィーは白旗を上げた。
「エドさん、ナイフってどれが良いですか?」
「カッスィーはメイン武器は、弓だろう? ナイフはランクBのこれなんてどうだ?」
「”希望の導き手”……良い名前ですね。これにします」
「エドさん、私は?」
「ルビアはスキル【火魔法】があるから、ランクAの氷魔法が付与されたこれでどうだ? 軽いし解体もしやすい。いいナイフは一本あると違うぞ」
「”吹雪”……凍らせて切れるんですね。カッコいい!これにします」
「テッサは自分で打ったのを持って行くか?」
「いや、親父が打った”星屑”を持っていく。俺じゃランクAなんてまだまだだ」
「ガイは大剣も買うんだろう? ランクAの大剣とランクBのナイフで割引してやってくれ」
「”朝陽の雫”と”海の剣”、あと盾は”大地の響き”でよろしく」
和気あいあいとしながらも、どこか緊張したナイフ選びだった。
今日の昼食はみんなで村長宅へ。
今日は注意事項をエドさんに聞いて、明日出発する事になった。
馬車を引いてくれるのはうちの馬丁のランダさんで、トーミ町に着いたら解散する。
二日後、迎えに来て貰う。
エドさんの言うことを聞けない場合は置いていくから要注意と、山程注意を受けた。
「ガイはダンジョンになにしにいくの?」
「楽しそうじゃん。あと倒した敵の魔石は俺の小遣いにしていいって。後は、うまい料理が食えると良いなぁ」
「そんなに大きくは稼げないが、地道にがんばれば小銭くらいにはなる。みんな頑張れよ」
「はーい」
「楽しみ」
「ダンジョンの中でも俺の言うことに従って貰うからな。慣れてきたら手を出さないようにするから、絶対に守ってくれ」
「はい」
「トーミ町はダンジョンがあるから、ダンジョン産の肉の煮込み料理があったはずだぞ。楽しみにしとけ」
「楽しみだな」
「うん」
ミラノさんが入ってきて、昼食を配膳してくれた。
もちろん、今朝渡しておいた弁当の再現だ。
今日の昼食のメニューは、チキン南蛮定食。
甘酢たれに浸かったカツは柔らかく、タルタルソースがたっぷりかかっていて、とても贅沢だ。
「うわあ、おいしーい」
「このタルタルソースってやつがうまい。おかわり!」
「甘酸っぱさで油っこくないから食べやすいですね」
「ご飯もふっくら炊けてて、豆腐の味噌汁も美味しい」
「ガイたちはお米で大丈夫? パンを出そうか?」
「パンでもうまそうだな。一切れください」
「あいよ」
「私は大丈夫。お米も美味しいよ。それで、デザートは……ある?」
「もちろん。今日はプリンアラモード。プリンと果物にホイップクリームを絞ったおやつだよ」
ミラノさんが持ってきたデザートに、ルビアは歓声を上げた。
「飾り切りされたフルーツがキレイ! プリンが美味しーい」
「クリームが甘くてうまい! プリンはとろっとしてて軽く食えちまう。果物もうめえ」
「プリンの甘さもちょうどいいよ。どれを食べても美味しいよ」
「ほんとうめえ」
大満足な結果に、ミラノさんはほっと息を吐いてお茶を入れてくれた。
「明日は朝9時に集合な。朝飯ちゃんと食ってこいよ。明日の昼飯はカッスィーのスキルで出して貰う予定だが弁当を持ってきても良いぞ」
「私はカッスィーから買う」
「俺もそうする」
「銅貨はあらかじめ出発前に、親から貰ってチャージしとくから、欲しいものをドンドン言ってね」
「私はおやつも出して欲しい」
「了解。テッサ、中身の検索の補助と【鑑定】を頼む」
「任せといて」
そのほか戦うときのフォーメーションを決めたり、ダンジョンの中ではゆっくり休憩できないから長くても3時間で出てくると説明された。
夕食のブラウンシチューは絶品でとっても美味しかったけれど、明日のことが気がかりで、デザートのシュークリームもひといきで食べてしまった。
カスタードクリームとホイップクリームの両方が口の中で混ざり合って、甘くておいしい。
明日のおやつは何にしようと思いながら、眠りにつくカッスィーでした。
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