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ダンジョンに行ってみたい

今日はカルビ弁当にしてみた。餃子と迷ったので、お惣菜の餃子とポテトサラダもチョイス。


テッサに材料を聞いて出すと、テッサだったら炒飯が食べたいとのことで、炒飯の材料も出した。


ミラノさんは作り方を聞きながら、ふんふんと相槌を打っている。



補給係の考えは良かったようで、テッサも賛成してくれた。まず水を出す練習をして、他の種類の飲み物を出すのもやってみる。



紅茶、緑茶、炭酸飲料、ジュース……



そして移動食としてカロリーメイトや、ゼリー飲料も出してみる。



「バーティにひとり、カッスィーが欲しいね」


「それはテッサでしょ。スキル【鑑定】持ちがいると随分違うらしいじゃん」


「お互い様だよ、カッスィー」



毎日弁当しか出してないのに、テッサの信頼が厚い。



「まじめな話、ダンジョンに行ってみたい思ってるんだ。カッスィー、一緒に来てくれないか?」


「ダンジョンってトーミ町の初心者ダンジョン?」



ここティティー村から、2、3日かかる。


危険度はそれほど高くなく、スキルを授かった子供が肝試しに行くことも珍しくないと聞く。



「俺は欲しい鉱物があるから、行きたいんだ」


「へえー。いいよ、行きたい!でも、日帰りじゃムリでしょ。あとガイとルビアにも声をかけないと後でうるさそうだ」


「2人には今日聞いてみるよ。泊まりになるから、親の許可も必要だな」


「薬師のエドさんに引率を頼んでみるよ。子供4人じゃオッケー出やしない」


「じゃあいってくる」


「僕も」



家を出て、薬師エドさんの家につく。


戸を叩いて、声をかける。


「カッスィーです。エドさんいますかー?」


ドンドン


カチャッ


「カッスィーか。どうした。家に入れ」


「お邪魔します」



エドさんは長い黒髪を一つにまとめていて、優しそうな目をしている。元冒険者だけあって、ガッチリした体つきだ。


エドさんはお茶を出してくれた。薬草茶だ。


独特の苦味が喉を通っていく。



「エドさん、僕たちダンジョンに行きたいんだ。メンバーは僕とテッサとガイとルビア。トーミ町の初心者ダンジョンに引率として一緒に来てくれない?」


「初心者ダンジョンか。何か欲しいものでもあるのか?」


「テッサは鉱物が欲しいんだって。僕は自分のスキル【ネットスーパー】で補給係をやって、役に立てるか確かめたいんだ」


「その意気や良し。連れてってやろう」


「やったー」


「まずは十分に準備してからだぞ」


「わかってます」


「ベンさんに話をする。後で家で行くから、準備していいぞ」


「はーい」



エドさんの家を出て広場に出る。


広場には3人集まっていた。



「エドさんが来てくれるって。二人はどうする?」


「もちろん、行きたい!」


「俺も行く!」


「じゃあ予定どおり4人だね、テッサ」


「ああ!楽しみだぜ」



親の許可を貰う必要があるので、いったん解散する事になった。


カッスィーも家に戻り、昼食をいただく。



カッスィーは、カルビ定食に、餃子とポテトサラダ。


ちゃっかり一緒の卓についていたテッサには炒飯と餃子とポテトサラダ。


それに中華スープまでついている。



カッスィーは焼きたての焼き餃子から食べてみた。カリッとした食感の後に、噛んだ先にはたっぷりの肉汁が溢れ出て、香味野菜の風味が心地よい。文句なくおいしい。そして2個目を食べようとして、テッサが醤油とラー油をつけて食べてみて、と言うので試したところ、大正解。ちょっとピリッとするけれど後を引くおいしさで、餃子はカッスィーの好物になった。



わかめともやしの味噌汁を飲みながら、カルビを口に入れると、甘辛い濃いめの味付けが舌の上に広がった。肉は堅くなく、柔らかでどこかフルーティーな風味がする。ついでご飯をかっこむと肉の風味が緩和されてちょうどいい。



箸休めにポテトサラダを食べていると、テッサが二本の棒を操って餃子を食べているのに気付いた。



「テッサ、それが例の日本食のカラトリー?」


「えへへ。今日出来上がったから持ってきたんだ。俺と同じ子どもサイズの箸をカッスィーの分も作って持ってきてあるからさ、良かったら使ってよ」



聞くと、箸というカラトリーを自分で工房で作ってきたという。


ちらりと見ると、ミラノさんがカッスィーのぶんを持ってきてくれた。



「わあ。僕のは青色なんだね。テッサは緑だ」


「大人用はミラノさんの分だけで、オレンジ色。どうですか、使い心地は?」


「ああ、問題ない。坊ちゃん、こう持ってこう動かすんだ。慣れると定食食べるときには箸が必須になりそうだ」


「こうかな? へえー。ありがとうテッサ。でも、使い勝手の良いものなら父さんと母さんのぶんも作ってくれない?」


「うん、村長夫妻のぶんは、希望の色を聞いてから作ろうと思ってさ」


「良いと思う。あと、もうすぐハイド男爵の納品の日だろ? あっちも注文受けるの?」


「サンプルとして10組ぐらい献上すればいいかな? 自分の鍛冶屋や木工品の店に頼むかもしれないし」


「そうだね。父さんにもそう言っておくよ」



ポテトサラダもおいしくて、ついつい食べ過ぎてしまいそうになる。


テッサも完食し終える頃には、デザートのコーヒーゼリーを食べていた。ちょっと苦いけれど、甘いホイップクリームが乗っているから難なく食べ進められる。



「美味しかったよ、ミラノさん」


「お粗末様でした」


「僕、餃子が気に入ったよ」


「ええ、俺も気に入りました。また作りますよ」


「やったぁ、お願いね」



食後、自室に引き上げてきた僕はダンジョン行きの準備をする事にした。

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