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魔法が織りなす雄大さ

真珠のように美しく輝く、白い髪と肌。

灰色をした目。

その目は、全てを見通しているかのような見識の目。

凛と佇むその姿は、彼女の持つ自信と情熱を表さんとしているかのようだ。

これが[ルーンの申し子]と呼ばれる彼女、アン・ニーマンの容姿風貌である。

ほんと、父さんとは似ても似つかないよなー。

どうやって二人が出会ったのか気になるものだ。

「どうしたのアレン? 何か考え事をしているみたいだけど」

「あ、いえ、なんでもありません」

「そう? ならいいんだけど」

「それよりどうして庭でやるんですか?」今日は何故か庭で魔法を教えるからとのことで、僕と母さんは庭に移動した。

「その方が都合が良いからよ」

「その方が都合が良い・・・?」

「まあ、見れば分かるわ」

そういうと、母さんは予め用意していたのであろう、金魚鉢に似た形のガラスの器を台の上に置いた。

そしてそれに水を注ぐ。

並々にまで注ぎ終わると「少し後ろに下がるわよ」と僕を促した。

僕は言われるがままにする。

「この辺で良いわよ」

言われた通りにそこで止まった。

一体これから何が始まるのだろう。

呆気にとられる。

と、次の瞬間、「水よ、湧き上がれ!」。

勢い良く母さんが魔法を唱えたのだ。

すると忽ちに、先ほどの水の入った器からまるで噴水のようにして、勢いよく水が舞い上がった。

「おおー!」

僕は興奮を抑えきれずに声を出す。

見るものを圧倒させる景色が、そこに広がる。

「まだまだこれからよ、アレン」

「彼の水よ、凍り付け!」

!?

また魔法を唱えた。

それと同時に、噴水のようにして舞い上がっていた水が、全て一瞬にして凍った。

まるで一本の氷の柱のようにして、そこにそびえたつ。

もはや言葉も出ないくらいの驚嘆を覚えた。

「彼の氷よ、砕け散れ!」

更にそう唱えると、忽ちに氷が音を立てて割れていき、最後には砕け散った。

一粒一粒の氷の結晶。

それが氷の霧のようにあたり一面に、散る。

とても儚く美しい光景だ。

「凄いです母さん!」

「ふふふ。ありがとう」

「僕にも、今のようなことが出来るようになれますか?」

僕は無性に、聞かずにはいられずに結論を急かした。

その問いに母さんは「ええ、アレンならきっと出来るわ」と即答する。

「そのためにも、私がたくさん魔法のことを教えてあげる」

その言葉は僕の中で、とても頼もしく響き渡る。

僕は今、とてつもない情熱の衝動に駆られているのが分かった。

その情熱はこれから待つ数多の冒険を、まるで予期するかのようにアレンの心を奮い立たせた。

アレンの異世界での人生はまだ、始まったばかりである。



アレンとアン。

その二人の親子の様子を、木陰からじっと見つめている者がいた。

幼い少女の身なりの者。

「ズルい。こんなのズル過ぎるわ。あの子さえいなければ・・・。あの子さえいなければ、私があの人と一緒に・・・」

少女は一人、どす黒くそう呟く。

https://choujintarou.com/

こちらは私のブログになります。

よければ覗いてみてください。

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