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強くなるための厳しさ

内心、父さんが機嫌を悪くしていないかと不安になりながら、アレンは父のもとへと急いだ。

「待たされるの嫌いな人だもんなー、父さんは」と、僕は呟く。

もっとも鍛錬の間だけは父さんとは呼ばずに、先生と呼ぶことになっている。

僕にとって、彼は父であり剣の師匠でもあるわけなのである。

「こっちだー、アレン」

声のした方向に僕は視線を向ける。

屈強な肉体を持ち、長身でもある男が、いかにも武道家といったいで立ちでそこに立っている。

「お待たせしましたー」

「まったくだ」

案の定機嫌が悪いようだ。

「鍛錬がイヤだから逃げ出してしまったのかと、今しがた思ってたところだ」

「あー、確かにいっそのこと逃げれば良かったかもなー」

「もし本当にそうなったら、お前の晩飯は抜きにするからな!」間髪入れずに父さんがそう言い放つ。

その目は殺気だっている。

マジで怖えー。

「や、ヤダなー、もう。冗談に決まってるじゃないですかー」

半分本当だけど。

「なら良いんだがな」

「いつも言っていることだが、日頃の鍛錬こそ、己の心身を形作る基本だからな」

「それは分かっていますけど、こうも毎日剣を振るばかりでは疲れます。それに、たまには違うこともしたくなるものです」

「気持ちは分かるが仕方がない。この世界で生きるということは、自分の身を守る術を覚えていくことと同じことだからな」

「それは”魔物の脅威”に備えろという意味ですか?」

「そりゃー、色々だ」

言葉を濁された。

 この世界に巣食う異形の存在。

 それが魔物である。

 その脅威について、僕はまだ噂程度にしか知らない。

 だからこそ、父さんから魔物について色々と詳しく聞いてみたったのだが・・・。

「まあ、お前はまだ子供だから知らなくていいことだ。これからイヤというほど思い知らされるだろうからな」

「そういうものですか」

「そういうもんだ。そんなことより、そろそろ始めるとするぞ」

「はい!」

それぞれ距離を取ってから、両者剣の構えに入り互いに挨拶をする。

静寂があたり一面を包み込んだ。

重たい空気が漂い始める。

一瞬の気も許されない緊張感。

アレンは鼓動が速くなっているのを感じていた。

二人の間に深い沈黙の時が流れる。

その刹那。

まるで二人の沈黙を切り裂くかのように、片方の剣先が躍動を魅せんとする。

すでに剣の火蓋は切って落とされたのだ。

先に仕掛けたのは父さんの方からである。

素早い身のこなしで一気に間合いを詰められる。

太い腕から振るわれたその剣を、とっさに防ぐ。

くっ・・・、重い。

衝撃が腕に走る。

「脇が甘いぞアレン」

キーン。

鉄どうしがぶつかり合う鈍い音が鳴り響く。

あっけにとられると同時に、気付けば剣が宙を舞っていた。

地面へと突き刺さる剣を僕は見届ける。

「参りました」

「まだまだだなー、アレン」

フンッと、小さく鼻を鳴らしたのが聞こえた。

もうー、本当にこの人強すぎだってのー!



夕日に照らされながら舞う二本の剣。。

やっとそれが鞘に収めれる時がきた。

「よし。今日はここまでとする」

正午からずっと繰り広げられてきたこの長い死闘も、ようやく終わった。

「うう・・・、は・・・、い」

もやはアレンの疲労は限界を迎えていた。

今日も手ひどくしごかれたものだ。

まったく、スパルタ教育もいいところだよ。

「帰るとするぞ」

「は~い」半分寝た状態で返事をする。

「乗ってけアレン」

「ん・・・?」

気付けば、父さんが屈んだ状態で僕を促していた。

「今日はいつもより厳しくしたからなー、その分疲れただろ?」

「だから、ほれ。乗ってけ」

どうやら、おぶってやるから乗れということらしい。

なるほどそれならば、そのお言葉に甘えようではないか。

とは言え、ここは庭なので家はすぐそこではある。

「はい! ありがとうございます!」

父さんは僕を肩に担ぐと、そのまま家へと足を伸ばした。

「言っとくが、こういうことは今日だけだからな」

ぶっきら棒に呟く。

「分かっています」

二人の親子は沈み行く夕日を見届けて家に帰る。

展開が中々進まなくてお見苦しいかもしれません。

ただ、これから段々と面白くなるつもりなので、応援のほどよろしくお願いいたします。

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