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平穏の幕が閉じる

俺の名前は人間通。

俺が元いた世界では、日本人として日本で暮らしていた。

そう、あの日俺が”元いた世界”で突然死ぬまではそうだった。



俺は高校を卒業してからは、郵便配達員の仕事をしていた。

俺が郵便を配っている場所は田舎町である。

そして俺が生まれ育った場所であり、多分死ぬまで住むことになる町だろうと思う。

いや、今となっては思っていただな。



俺が死んだその日も、いつものように郵便物を配達して回っていた。

「次に配る家は、3丁目のおじいさんのとこだな」

「そうだ、この間貰ったりんごのお礼を言わなくちゃだな」

郵便配達員の仕事とは一人で黙々とやりがちだが、俺はこうして特段意味もない独り言を言いながら配るようにしている。

そうでもしないと、一日の内ほとんどが言葉を発する機会がないためである。

「やっぱ俺って、寂しがり屋なんだな…」

また独り言を言ってしまったことに、内心で気恥ずかしさを覚えつつ、3丁目のおじいさんの家に向かう。

その道中で制服からして中学生くらいの女の子とすれ違った。

そのすれ違いざまに「あー、通お兄ちゃん!」と快活な声で呼び止められた。

俺は一旦バイクを停止させ、その声の主に顔を向ける。

やれやれ相変わらず声がやたらとデカい奴だ。

この町で俺を通お兄ちゃんと呼ぶのは一人しかいない。

「やっほー、通お兄ちゃん。久しぶりだねー、元気ー?」彼女はまるで、まくし立てるかのように俺に話しかける。

だが俺はそれに対して何も返事をしないまま、じっと彼女の方を見つめる。

その反応に彼女は、数秒ほど困惑したような顔をしてから「あれれー、あたしのこと忘れちゃったのー? ほら、峰麗しきナイスな女性のメイちゃんだよー!」とこれまたまくし立てるように言い放つ。

俺はその言葉には反応せずに「おう、久しぶりだな。観ない間に大きくなったな、メイちゃん」と何もなかったように切り返す。

「もう、ちゃんと覚えてるんじゃない。何ですぐに返事しないのー。あ、もしかして、しばらく観ない間に綺麗になったなとか可愛くなったなとか、そんなこと思って見惚れてたりしてー!」と言いながら何故か制服のスカートをひらひらと靡かせている。

「ああ、じつはそう思ってたんだ。」

彼女は俺のその言葉に意表をつかれたかのように「ええ、そうなのぉー!」と顔を赤くして手で顔を覆い隠している。

本当のところを言えばいつ会ってもアホっぽ・・・、能天気な顔をいつもしていて、幸せそうな奴だなと思っていた訳だが。

まあ、そんな昔と変わらないところが、良い意味でメイちゃんの良さではあるのだが。

「あれれー、なにニヤニヤした顔してるのー?さてはあたしを見てエッチなこと考えてるなー」

「こらこら、そうやって大人をからかうんじゃありません」

俺は彼女に近づき額に軽くデコピンを食らわせた。

二人の間に数秒の沈黙が流れる。

「ふふふ、良かったー。通兄ちゃん昔と全然変わってないみたいで」

「それはお前もだ」俺は言いながらまたデコピンを頬に軽く食らわせた。

「ちょっとー、何でまたデコピンするの―!」

「何となくだ」

「もう、何それー」彼女はぷいっと顔を反らした。

内心ちょっとやりすぎだったなと反省した。

「すまん、機嫌を悪くさせたな」バツが悪く俺は片手を頭に抱える。

「あはっ、通お兄ちゃんが焦ってるー」

彼女は人差し指を向けて、俺を嘲笑するかのようなポーズを取る。

「コイツ、またからかいやがったな」

これは少々懲らしめなければな。

「そういうことなら、次は特大のデコピンを食らわせてやるからな」

「わー、コワイよー。それは嫌だから逃げるぞー」

彼女は足早に歩道から道路へと跳び出し、逃げ回る。

その瞬間、猛スピードで走るトラックが、彼女に向かって襲い狂う。

俺はとっさにメイを尽き飛ばした。

だが、代わりに俺がトラックに身体を投げ出す形になる。

次の瞬間には俺の身体は宙を舞い、地面に身体を打ち付けた。

グシャっという鈍い音が自分の耳に聞こえた。

そして次には、耳鳴りがする。

キーンという音が、まるで数分にも数時間にも感じるかのようにしばらく鳴り響いていた。

そして次には、身体を動かそうとするだけで全身に鋭い痛みが走る。

そして次には、視界がじわじわと暗闇に包まれていった。

意識が遠のいていく中で走馬灯のように過去の記憶が蘇る。

ああ、俺死ぬんだな。俺は、死ぬ覚悟をした

そして次には、泣き叫びながら俺の名前を呼ぶ声がする。

「お願い、目を覚まして。死なないで。お願いだから、死んじゃ嫌ー」

「こんなのイヤだよ、逝かないで。通お兄ちゃーん!」



メイ。

ごめんな。

悪いけど俺、死ぬみたいだ。



突然視界にまぶしい光が差し込む。

どこか神々しさすら感じるその光の中から人影のようなものが現れる。

光に目がまだ慣れていないせいか、その人影が何なのかハッキリとは分からない。

気付けば、あたり一面白一色の空間に自分が立っていたことが分かる。

そのうちにやっと目が慣れてきて、先ほどの人影が女性であることが分かった。

その女性は白いドレスのようなものに身を包みこんでいる。

そして思わず見惚れてしまうほどに美しい容姿をしていた。

ジロジロと顔を見つめていると目が合った。

俺は思わず目をそむけた。その瞬間彼女が口を開いた。

「やあ、ヒトマトオル君」

「私は神だ。と言っても君のいた世界とは違う世界。異世界の神だがね」

「それで、早速だけど君には、異世界へ転生してもらうことにしたから」

「はいっ!?」

初めてラノベ(小説)を書いたので、拙いところもあるかもしれせんがどうぞ温かく応援して頂けると幸いです。

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