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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ルビーの呪い

作者: 茜カナコ

 僕は町で医者をしていた。


「次の患者さんですけれど、熱が高いと言うことなんですが……」

「はい、見てみます」

 診察室に入ってきた少女の名前はレイルと言った。

 レイルの手足は、妙に怪我の後が多かった。

「ちょっと、注意不足みたいなんです」


 そう言ってレイルの母親は、レイルの指や腕を包帯で隠していた。

「包帯を取って見せてくれませんか? 怪我が多すぎる」

「え!?」

 レイルはこわごわと母親の顔を覗いた。

「私は医者です。患者さんのことはキチンと見ておきたいんです」

「……熱の薬だけ出して頂ければ良いんです。余計なことをしないで下さい」


 レイルは黙って、俯いてしまった。

 その手首から、血がこぼれ落ち、床に血の跡が付くかと思った。

 しかし、そこにあったのは、ピジョンブラッド色のルビーだった。

「ルビー? まさか、レイルは血がルビーになる呪いを受けているんですか?」

「……お医者様には関係の無いことでしょう?」


 レイルの母親の目が鋭く光った。

「この怪我もルビーを取るために!?」

「……もう、痛いのは嫌……助けて、先生!!」

 レイルは僕に隠れるように駆け寄ってきた。


「これは、国に報告させてもらいます。レイルは僕が保護します」

「なんだって!? 身寄りの無いこの子をここまで育てたのは私なんだよ!?」

 レイルの母親は、そう言うとレイルの腕を引っ張った。

「痛い!!」

 レイルの腕からルビーがパラリと落ちた。


「止めなさい! 貴方がしていることは犯罪です!!」

 僕はレイルの母親から、レイルを守るために立ち上がった。

「貴方を母親とは呼べません! レイル、僕の家においで? もう怖いことは起きないよ」 騒ぎを聞きつけた受付嬢が、兵隊を呼んできた。

「ルビーを生み出さなければ、こんな子どもは、ただの孤児だ! 恩を忘れやがって!」

 レイルの母親は兵隊に連れて行かれた。


「ねえ、お母さんはもう、私に痛いことしない?」

「ああ、キミは強い子だね。よく我慢したね。もう、大丈夫だよ」

 レイルは不安そうな瞳で僕を見つめている。

「今日から、ここで一緒に暮らそう。いいかな? レイル」

「……うん」

 

 レイルは傷だらけの腕で、僕に抱きついた。

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