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暖かい乳白色

作者: カーミラ

























 洋館の中にはきみが閉じ込められていた













 畑には今日も祖父が土とじゃれあっている










 洋館の中のきみにだけ秘密のことを教える










 あの畑は何も植えてもいなければ何も実るものもないのだという事を










 秘密を知ったきみを永久にこの田舎のなかに閉じ込めておかなければいけなくなった










 あの祖父がきみをみても畑とじゃれあうことを止めないことを知っている










 あとは時間が次第にぼくの方へきみを差し向けることだろう










 そのとききみは洋館なのにその裏庭にもうずっと前から置かれていた五右衛門風呂のすぐそばで










 一糸纏わぬ体を洗い流した後にまわりに警戒の目を向けながらも縦長の釜に隠すように身を沈めた










 きみはこの家と土地のことなど知りはしないここが本当はどんなところかなんてね










 その証拠にきみはいつも理解してくれないぼくの言葉を仕方なく信じることで暫し躊躇った後何の惜しみもなく白い肌を初夏の夜にさらけだした










 きみのその白さはこの洋館のある田舎のなかではあまりにも場違いで眩しすぎた










 夜になったばかりだというのに月がすかさず地上に煌々とした輝きを投げたときのように










 だけど安心していいきみに言った通り祖父は畑とじゃれあうことを止め今は洋館のなかでひっそりときみが戻るのを待っているだけだ










 でもその前にぼくがきみの後に入るのは言うまでもない祖父にはきみが長湯していると嘘をついてその間にぼくがきみの残り湯を堪能するきみが温ま湯好きなのもわかっているそのミルク色の湯が好物を連想させきみの美しい肌のあいだを芳しく滑り落ちていく










 きみは覗かれていることを知らないきみは今ではすっかり心身共に安心し寛いでいるからだ










 仲間達と秘かに声を潜めて見られているなんて思いもしないだろう










 きみはぼくのことばを信じているからだ










 やがてきみが洋館なのに裏庭に無造作に置かれた五右衛門風呂のなかから外へでた










 突然眩しい月のあかりがふたつとなってきみにはほんとうはどんな家なのか知らない洋館の一郭に浮かび上らせた










 きみが素っ裸のままきみの知らない家のなかに入り込むとぼくは逸る気持ちできみのあがったばかりの五右衛門風呂へと急いだ四方から仲間たちが一斉に釜へと向かうがぼくが一番先にその匂いを嗅ぎ入ることをみな承知している










 当然裸のままでいたからそのまま片足を乳白色の湯にそっと浸けてみる










 湯は思ったより熱く深さもかなりありそうだ










 もう少し冷めるまで後回しにして取り敢えずきみがはいっていった洋館のなかへぼくは早足で向かった









 仲間たちもその後から戦きながらもつき従う









 部屋のなかできみを見たときぼくは嫉妬を覚えた










 祖父がきみとじゃれあっていたからだ昼間ずっと畑とじゃれあっていたようにきみに甘えている










 だがきみはいつものあの笑顔をぼくの方へ向けるとぼくの後ろの初対面となる仲間たちのことを云った










 「あら!お友達を連れてきたのね!」










 ぼくはきみには理解できないいつものことばでこたえた










 「にゃああん」






















 















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