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13話

 翌朝、彼はオーク関連の依頼がないか探すためにギルドに向かった。


 何故彼はオーク関連の依頼を欲しているのか?その理由は昨晩にまで遡る。


 昨日宿に戻った幸男は宿で出された食事を手早く済ませ、自分の部屋に戻った。だが出された食事にあまり満足がいかなかったので、先程バラしたオークを焼いて食べてみることにしたのだ。


 掌に火を発生させ、棒に無造作に突き刺したオークの肉を炙った。


 ほどよい焦げができ、しっかり中まで焼けた事を確認できたので、彼は塩を振ってからかぶり付いた。


 モゴモゴと頬張った肉をゆっくりと味わいながら咀嚼し、ゴクンと飲み込む。


「うまい・・・・」ついそんな言葉が口から出てきた。


 あの見た目からどうせ脂がキツく食えたもんじゃないだろう。でも腹がまだ空いていたから、まぁ腹の足しにでもなれば良いか、と味の事は半場諦めて腹にたまれば良いと考えていた。だが思いの外旨かったオーク肉についそんな言葉をこぼしてしまう程には驚いていた。


 高級ブタと言うほどでないが、それでも市販で売っている豚肉かそれ以上くらいの美味しさだったので、あまり食事のランクが高くないこの時代では奇跡のような美味しさだった。


 彼は夢中になって肉を焼きまくり、気がつけば袋に入れていたオーク肉を全てペロリと食べてしまっていた。


 10頭以上は食べたがそれでもまだ足りない!もっと食べたい!明日になったらオークを狩りまくろう。そう思った。


 そういう経緯があり、彼はまたあの美味しさに浸るためにオークの肉を欲していた。また依頼を受ける理由は、どうせ狩るなら依頼を受けてから狩った方が金も得られて一石二鳥だと考えたからである。依頼が残っていればの話だが。


 ギルドに着いて早速彼はオーク関連の依頼を探そうと中に入っていったが、どうやら何かあるらしく、いつもよりも多くの冒険者がギルド内で待機していた。


 その中にあのオークの依頼を出してきた酔っ払いがいたので、幸男は事情を聞くために近づいて行った。


「おーいおっさん」「ぬ?」


 そうして幸男は男に、何故こんなに冒険者が集まっているのかと聞いた。


「そりゃおめえ、何かよ、この町来る途中に森あるじゃんか。あそこにどうやらゴブリンが巣を作ってるらしくてな、しかもそこそこおっきくなってんだとよ。そんでこれ以上大きくなる前に大勢で叩き潰そうってギルドからの依頼が出されてな。今は依頼の説明待ちかな?」


「ほーん・・・」集まった冒険者たちの事情を聞き、興味なさげにそう返す。


「あん?なんだ兄ちゃん。依頼受けないのか?稼ぎ時だぜ、もったいないぜ!」そんな様子の幸男に男はもったいないと忠告をしてきた。


「いや~止めとくよ。今はそれよりオークの肉が欲しいのさ」


「は?何だってオークなんぞの肉を?」「食べるためさ」


 何故と聞かれたので食べるためだと返すと、男は信じられないと言うかのような驚愕の表情を浮かべた。


「いやいやいや!おま!オーク食うとか正気かよ!」


(マジかこいつら!オーク食わないのか・・・)そんな男の様子に幸男は内心しまったと思い、話を打ち切るために男にあんたも行くのかと聞いた。


「ん?あぁそうさ。稼ぎ時だからな!オークの野郎のせいで最近稼げなかったからな。この依頼で帳消しになるくらいやってやるぜ!」


 そう意気込む男に話の礼を言って別れ、ボードに向かいオーク討伐の依頼を探した。


 たまたまギルドがオークの素材が欲しいと依頼を出していたのでそれを受注し、多くの冒険者がひしめくギルドから抜け出し高原に向けて歩を進めた。





 -------------------





 オーク達はたった今仕留めたホーンラビットの群れを囲んで狂喜乱舞しながら口々に吠え、勝利と食事への喜びに打ち震えていた。


 初めにボスが一番デカいホーンラビットを頭からバリバリと食べ始めた。その様子をブヒブヒと落ち着かない様子で見つめていた。


 ボスが満足するまで食べ終え、ようやくボスから食べても良いと指示されるや否や子分オーク達が脇目も振らずにウサギの肉に飛びついた。


 さあ自分も、と肉にかぶり付こうとしたときに、何やらこちらに何かが接近してくる音が聞こえた。


 どうやらほかの仲間たちも聞こえたようで、困惑したように辺りを見回している。


 と、近くで爆音がした。


 爆音がした方向に顔を向けると、何かが爆発したかのような土煙が見えた。


 何かマズイ!と考えた子分たちはボスから指示をもらうためにボスに向き直った。


 あれ?ボス?頭はどうしたの?


 頭の無いボスを見て子分オーク達は凍り付いた。


 そんな隙をさらした哀れな子分オーク達を、幸男は一瞬のうちにボスオークと同じような末路をたどらせた。


「はは!7匹!」喜びの声をあげながら手早く死骸を袋に入れ、またオークの群れを探すために高原中を走り回った。


 群れからはぐれた2匹のオークの頭を疾走の勢いを緩めず後ろからつかみ地面に叩きつけて殺害。


 縄張り争いをしているオークの集団計20匹程の中に飛び込んで腕を無茶苦茶に振り回して殺して殺して殺しまくる。


 水辺で休んでるオークの群れを辻斬りのごとく真っ二つに叩き割る。


 途中、ホーンラビットの群れが突っ込んでくるということもあったが、オーク肉のほうが断然おいしく量もあった。その上今はとにかく今はオーク以外の相手をしている時間が惜しかった。だから彼は無造作に冷線を浴びせかけバラバラにした。


 そうやって夕日が沈み始める時間帯まで、彼ははただひたすらにオークを殺しまくった。


 さすがに100頭以上狩ればもういいか、ということになり彼はギルドに依頼の素材を持って行き、急いで宿へ戻っていった。


 とっとと宿で出される飯を胃袋に押し込み、部屋に戻って昨日と同じようにオーク肉を焼きむしゃむしゃと食べ始めた。


 翌日、またギルドからのオークの依頼がないか確認しに行った。


 どうやら討伐隊はまだ戻ってきていないようだった。ガラガラのギルド内を見て彼はそう思った。


 ボードで依頼の確認をしていると、バタン!と勢いよく扉が開かれ数人の男が飛び込んできた。


「大変だ!ゴブリンの巣内のゴブリンどもが予想以上に変異していた!そのせいで討伐隊がヤバい!」


「なんですと!」とギルドの職員がぼろぼろの男たちを介抱しながらその報告に驚愕していた。


 幸男はその話を聞き、あの男のことが思い浮かんだ。





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