町へ到着です!
朝日が昇り始めたところで目が覚めた。
寝ぼけ眼をこすりながらテキパキと身支度をし、テントを片付けて袋にしまった。
そうして今度は焚き火で火を焚きながら、袋から鍋と材料を取り出した。
焚き火の上に作った簡易な鍋置きに鍋を置き、細かく刻んだ野菜と米と水と塩と昨日仕留めたウサギの肉を放り込み、袋から取り出した折りたたみ椅子に座って煮えるまで待った。
しばらく煮えていく鍋の様子を、頬杖をついていかにも何も考えていないといった表情で眺めて待った。
鍋が煮えたのを確認した彼は、鍋を鍋敷きを敷いた簡易なテーブルに置き、皿と匙とお玉を取り出しさらによそって食べ始めた。
匙で粥を掬って口の中に放り込みながら、すっかり雲が無くなった空を仰ぎ見た。
朝焼けが、まだ完全に覚醒していない彼の目に飛び込んできた。
その眩しさに目を細めながら、ようやく覚醒し始めた頭を振るい残りの粥を全部口の中に掻き込み、水筒の水で流し込んだ。
食事と後片付けを終わらせ一呼吸ついてから、おもむろに森へ向かって走り始めた。
走る速度をまったく落とさず木々の間を縫うように幸男は疾走する。
彼はただ前だけを見て走った。行き先や外敵の位置などは鼻が教えてくれるので、彼はただ鼻の判断に従えばよかった。
外敵の心配はなかった。こんな勢いで走っている様な存在を捕らえられる者がいなかったからである。
普通に入ったら抜けるのに2日は時間が掛かる森を、彼はものの十分ほどで走り抜けた。
森から抜け、少しだけそのままのスピードで走り、途中で走りから歩きに切り替えた。
しばらく歩いていたら、ようやく人の手が加えられある程度整えられた道へ出た。
その道を歩きながら、さぁここからはもう一切油断はできないぞ、と自らの気を引き締めながら言い聞かせた。
そしてとうとう彼は町の入り口に到達した。
検問をどうにか突破し町の中に入った彼は、まずはギルドへ冒険者登録をしようと思い、ギルドへ向かうことにした。
ギルドはある種の何でも屋のような組織で、さまざまな依頼を扱っている。
そしてその依頼を登録した冒険者に紹介したり、モンスターの素材などの買取などを行っている組織である。
足がつくような事はしたくはないが、それでもこの世界でそれなりの扱いを受けたいのならば登録するしかない、と考えていたからだ。
ギルドは町の中央にあり、周りには冒険者たちを支援するような店や出店などでそこそこ賑わっていた。
不審に思われないか、なんか変なのに絡まれたりしないか等々不安を胸に、思い切ってギルドに入っていった。
中は思ったほど人がいなかった。いるとすればクエストボード前で依頼の確認をしている冒険者らしき者が数名といった程度だった。
早朝だからという理由もあるだろうが、それ以前にこんな時間にこの中でたむろしているほど暇なんて無いのだろう。貧乏暇なし。まったくのその通りだ。
そんなことを考えながら空いている受付に行き、登録をしたいと話しかけた。
「はいわかりました。それでは登録料10000円お願いします」
言われたとおりに料金を手渡すと、今度はあの身分証に似たカードを渡してきた。
「ではそのカードに魔力を籠めてください。それで登録は完了いたします」「あい」
カードに力を籠めると、カードに色がつき文字が浮かんできた。
リバー・ストーン:19 ♂
ランクE Dランクまであと10ポイント
スキル なし
称号 なし
(細工するの簡単だなぁ。こんなんでいいのか・・・)「あい、終わりました」
「はい。それで登録は完了いたしました。お疲れ様でした。他にご用件はありますか?」
用件はあるか?と聞かれ、これ以上は無いと答え、スタスタと出口に向かった。
出口に向かう際に、あのボード前にいた者の一人にぶつかってしまった。
すまない、と詫びを入れてそのまま歩き去ろうとしたら肩をつかまれた。
「ぬっ?」「待てやコラ!」
マジかよ!と心の中で毒づきながら、掴んできた者に顔を向ける。
どうやらその男は朝っぱらから酒を飲んでいたようで、ひどく酒臭かった。
「テメー人様にぶつかっといて詫びのひとつも無いとか、あれか?おじさんのこと馬鹿にしてんのか?」
「(うわっ)いやー言いまs」「やっぱり馬鹿にしやがったな!」
弁解しようとしたのだが酔っているらしく、まったく聞き入れてもらえない。
「あーあんた、そいつなんか昨日あったらしくてな、ヤケ酒して相当酔ってるから何言っても無駄だぜ」
ボードで依頼を漁っていた一人がそう幸男に言ってきた。
「あわあわあわ」と慌ててその男の罵声から逃れるために、ギルドの外へ逃げていった。




