財閥の娘
燃え盛る火の中。そこは山でも森でもない。豪邸だ。
真土燐はその豪邸に住む主人の娘に使えるメイドである。
銀髪のポニーテールに藍色の瞳。酸素不足で赤く燃える周りとは対照的でメイド服を身にまとった彼女は一歩一歩進む。
「見つけましたよ、お嬢様。さあ、早くこちらへ…」
お嬢様、と呼ばれたのは僅か11歳程の女の子だ。
この年頃であれば、まだメイドに頼りながら生きているであろう。
しかし…
「嫌よ!私はあなたみたいな人殺しのところには行かない!!」
そう言い残し、炎の中、屋敷の奥へと走り去って行った。
「はぁ…一体どこでバレたのやら…」
左手に握っていた4本のマッチ棒。そこにはしっかりと火がついていた。
「私の目の前で殺せなかったのは少々心残りですが…屋敷の外へと続く通路も全て火の海にしてきましたし、4本はお嬢様…いえ、目標の頭に命中したはずですし彼女の命はないでしょう。」
彼女はすぐ後にあった監視カメラを睨みながら言う。
「これで満足ですか?ご主人様。口座は以前教えましたね、3つありますので1ヶ月に1口座20万ずつ、24ヶ月間かけて口座に振り込んでおいてくださいね?」
彼女はメイドではない。殺し屋である。
「そろそろ私もここを出なきゃね」
そう呟いて彼女はその場から姿を消した。
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『昨日、12月30日。大宮財閥の屋敷が全焼し、大宮満 46歳が行方不明、その娘が死亡したことがわかりました。屋敷に仕えていたメイドも全員死亡したという情報が入っており、今もまだ消火活動に当たっています。では現場リポーターの鈴宮さん、現在の大宮財閥の屋敷の状況を詳しく教えてください』
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「13人目 大宮実」 Fin.
楓香です。特に自己紹介もないので割愛。
短い文章でしたが、読んでくださりありがとうございます!
次回から燐はもちろん、ほかの同業者のお話も書いていこうと思っています
応援よろしくお願いします♪