ガブリエルの言葉
雨、彩の現実と過去の漂着者たちが来る、幻視のウミベ。
――アア、あかるいあかい、あの夜に、
あなたはありえた、あゆみを止めない、あざやかな、秋を。――
彼女は眠っていた。
さあ、起きなさい。まだ、君の涙を見たくはないんだ。
と、オレが呟いた瞬間、彼女は涙の枯れた、その日、まだ救いの間に、ガブリエルが天国の賜物をオレに渡しに来た瞬間だった。
――イーア、イズラエル、イエラノール、イーア
――ウユニ塩湖のウミ辺に美しくも熟れない実が広がっていた。飛び散って、そして薔薇園は砕けた。
ああ、アダマ、アダマはどこに行ったのか?
彼女は起き上がり、オレを抱きしめた。
その楽は零音が少しの萌しでバッハの音楽を調べさせるのだろう。そしてその日は、遠くもなく、近くもなく、
――遠い重力を神が想像されたのです。
と、ガブリエルが彼女と彼に福音を授けた。
彼が遠くもなく、そして近いことを知らないその日々を回想する限り、また、彼女も彼を近くもなく、そして遠いことを知らないその日々をうずたかくかさねた夢の間に、祭壇画の間にガブリエルが説教台に立って、信徒の前で、
「神は貧困を許しません。しかし、貧困をなくす努力を、神はお認めになるのです」
と、信徒の前で説教を行った一瞬に、信徒は旧い楯となり、旧い剣となり、そして旧い夢となった。ああ、悪魔を讃えよ! 偽ガブリエルの悪魔よ!