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魔法の星  作者: メーティス
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誕生日

何だかほとんど食レポな話になってしまった件について。

「何だったのかしら、さっきの。」


私は思わずファンド君の行動に対して呟いた。

それはリンダも同じだったようで、同じく首をひねっている。


「まるで他の地球が存在するような言い方だったわね?」


「ええ、まるで地球がもう一つあるみたい。」


もう一つの地球があったとしたら、そこはどんな場所なのだろう。

もしかすると同じような地球の場所かもしれないし、地球とは違った進化を遂げているかもしれない。

そんな空想が膨らんでいく。


「それはそうと、もうそろそろ帰らないと叔父さんに怒られちゃうから、帰るね!」


「うん、バイバイ!」


「バイバーイ!」


丁度夕方の暖かなオレンジ色の光が窓から入り込み部屋全体を包む。

いつの間にか結構な時間が経っていた。

とても楽しい時間を過ごす事が出来た。

......でも、ファンド君のあれは何だったのかしら?


「リコリス~、夕ご飯が出来たわよ~!」


ファンド君の事を考えていると、ナタリーの呼ぶ声でハッとする。

まずはご飯をたべよう、それからまたファンド君の事について考えればいいわ!


「ナタリー、すぐに行くわ!」


そう返事をして急いで美味しそうな香りの漂う食卓へと向かったのだった。





***********************








「リコリス、お誕生日おめでとう~!」


私は真っ暗な闇の中、綺麗に蠢く小さな炎を一気に吹き消した。

パッと電気がつくと、少し目がチカチカする。

目の前には、カリカリの焦げ茶色に焼けた七面鳥の丸焼き、まるで小さな山のようにお皿いっぱいに盛ってある唐揚げ、お豆と濃厚クリームのクリームシチュー、取れたてホヤホヤの新鮮野菜を使った瑞々しいポテトサラダ、などなど....、

極めつけは、テーブルの真ん中にでかでかと置いてある、まるで雪のように白い直径70センチはありそうな丸いホワイトケーキだ。

ケーキの上には真っ赤な苺で埋め尽くされていて、その真ん中には「お誕生日おめでとう」とかかれたチョコレートの板が乗せてある。


「嬉しいわ、ナタリー!

 でも、どうして今年はここまでするの?」


さすがに誕生日だからと言っても、ここまで豪華な料理を作るのは少しオーバーなのではないだろうか?

去年だって、ここまではやらなかったのだし。

と、リコリスは自分の事なのにそう考えてしまう。


「言ったでしょう?今日は特別な日なのですもの。」


そう言ったナタリーは、叔母とは思えない若々しい微笑みを浮かべたままだ。


「──?その特別な日って、一体何の事なの?」


「.....それは、まだ、秘密よ!」


ナタリーはイタズラをしている真っ最中の子供のような、無邪気で、どこか企みを含んだ笑顔をし、人差し指をそっと下唇に触れさせた。

何を考えているのかは分からないが、期待して待っていていいのかな......?


「さ、食べましょ!食べましょ!」


「う、うん......。」


大きく切り分けられたケーキを一口掬う、少し重みが在るくらいのケーキだ。

口の中に入れると、冷蔵庫から出したばかりだからか、少しヒンヤリしていて、とても甘い。

スポンジもキメが細かく出来ていて、噛んでみると軽く跳ね返ってくる。


「「う~ん!美味しい!」」


私とナタリーの声が被る。

2人とも頬を押さえていて、やっぱりこおいう所に血の繋がりを感じてしまう。


「実はね、プレゼントは、こ・れ!」


「──?」


ケーキを食べていると、細長い直径40センチ位の白いラッピングされた箱を渡された。

持ってみると、リンゴより、少し軽い感じだ。


「一体なにが入ってるの?」


「開けてみてからのお楽しみよ!」


明るくかえされてしまった。

蓋を開けてみてみると、白銀の杖が入っていた。

一つの白銀の棒に、いくつもの小鳥や、花々が彫られていて、まるで本当に生きているようだ。

しかも、丁度私の手の中に収まる大きさに調えられていて、電気の光を受けて、キラキラと輝いている。

なんて綺麗なのかしら....。とってもスベスベしてるし、豪華な装飾ね。

きっと物凄い額がするんじゃないかしら?


「ナタリー....、とっても嬉しい。

 でも、こんなに良いもの、すご~く高かったんじゃなかったない?」


「そんな事ないわ。あなたの価値に比べたら微々たるものよ。」


「もうナタリーったら、私の事を過大評価しすぎよ!」


こおいう所もやっぱり血の繋がりを感じてしまう。

身内がどうして可愛く見えてしまうのはしかたないのでしょうけどね.......。

それにしても、本当に精巧な作りね....。

手で杖をなぞっていると、杖の手元部分に直径5センチ位の変な凹みがある。


「このくぼみは一体なんなの?」


「......これの使い方は、後で教えてあげるね。」


よく分からないが、この杖は後で部屋の壁にでも飾っておこうかな。

ケーキを食べきることは出来たが、他の料理はなかなか食べきる事はできなかった。


「お風呂入ってくるね?」


「ええ、行ってらっしゃい。」





        ~入浴中~





「ぷはっ~!」


やっぱりお風呂上がりの牛乳は美味しいです!

冷蔵庫から出した冷たい牛乳を開けて飲む、それが私の習慣だ。

白いネグリジュに着替えて、眠る準備をする。


「リコリス、寝る前にちょっと行く所があるの。」


「えっ、じゃあ着替えて.....。」


「いいえ、そのままでいいわ。」


ネグリジュのままナタリーに付いて行く。

どうやらナタリーは自分の寝室に行くようだ。

ナタリーの部屋の寝室は、とてもシンプルで、天蓋付きの白いベッド、茶色い執務机、クローゼット、だけしかなかった。

壁紙も濃い青色で、カーペットは緑色。

とても落ち着いている。


「リコリス、ちょっとこのベッドに腰掛けてくれる?」


「う、うん.....。」


素直にベッドに腰掛けると、とても柔らかく、40センチ位沈みこむ。


「でも、どうしてこの部屋に呼んだ.....」


いきなり目の前に何かが見えた瞬間。

急に体から力が抜けて、意識がふわふわとしてきた。

目の前の光景もぼやけてきて、何だか眠たい。


「ごめんなさいね...、少しの間寝ていてね。」


最後に聞こえた声に、一体どんな感情が籠もっていたのかは、分からなかった。

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