『おとな』の少女
鷹臨高校、合格発表の掲示板前。
「う、う、う、受かってるわ~!」
大声を上げるのは、猫の少女。
どこからともなくやって来た屈強な男性陣により、何度か空中を舞っています。
「……凄いですね。
ぶっちゃけ無理かと思ってましたよ」
鶏の少年は、『主席』に自分の番号があるのを確認すると、感慨も無さそうにそう呟きました。
夏から本気を出した少女でしたが。
やはり今までの穴を埋めるまでには至ってなかったのです。
「私、多分、国語満点に近いよ」
しかし少女は、恐ろしい能力を手に入れていました。
それは……。
国語の文章を読まなくても、問題文だけで解答を当てると言う、能力……!
問題作成者の気持ちを考えると言う頭のおかしい解答法で、少女の国語の点数は毎回9割を越えていました。
「……あれ?
野良犬とネクラちゃんは?」
「……ネットで合格発表を確認するとか言ってましたよ?
あ、二人とも受かってますので大丈夫……」
少年の言葉を制して、少女が呟きます。
「……ガリベン君。
……高校の合格発表……一緒に頑張っていた二人……最高の結末……『一緒に、お祝いしよっか?』……」
ハッと、少年がリアルに声を上げます。
天才の癖に、そう言うことには気づかないようです。
「いけません、邪魔しなければ!
いきましょう、西さん!」
自分とは別の少女に入れあげる少年のその言葉に。
猫の少女は勿論、笑いながら頷くのでした。
知れたこと。
愛のイベントには呪詛を。
朋友の恋路には汚灰を。
それこそが、リア充撲滅教の心意気なのですから!




