『ねずみ』の小児
自分の住んでいた世界に無事戻れた『ねずみ』の小児は、心配していました。
『こども』の老女は、ちゃんとお家に帰れたのか、と。
「ううん、ぜったい、だいじょうぶだ」
『ふえふき』の壮年が、きっと何とかしてくれる。
だって、頭が悪いと自覚のある自分にですら、7不思議の『しりとり』について理解させ、『殺される』ことがゴールであると解らせる事が出来たのだから。
それでも、不安は募ります。
小児はそんな不安を紛らわすかのように、老女にもらった金属の笛を山中で強く吹き鳴らしました。
笛は壊れているのか、音はなりませんでしたが。
なんだか、老女のもとへ、その音が届いているような気がして、何度も何度も笛に息を吹き込み続けるのでした。
「よし、かえるか。
……ん、なんでお前たち、くるかなあ」
……何故かその笛を吹いた後に、大量の野犬がやってきました。
老女も知らない事でしたが、それは壊れた笛ではなく、人間の聞こえないレベルの音を発する、犬笛、と言うヤツでした。
野犬達と小児はそれから何度も戦闘になり。
その過程で、小児は、馬鹿みたいに強い男に成長していくのですが。
それはまた、別の、話。




