ブレーメンの屠殺場( を説明するためだけの回)
ブレーメン説明回。
ブレーメン既読の方は、読み飛ばしても大丈夫です。
あ、ブレーメンの派手なネタバレがたくさんあります。
8月某日、某中学校、某教室。
2人の人間が机に座り、黒板へ向かっています。
黒板の前にもまた、別の人影が。
「ええ、そうです。
なんだ、因数分解はほぼ完璧じゃないですか」
教師のまねごとをしている、身長150cm位の少年。
彼の名前は、小鳥遊東。
自称天才の、そして残念ながら、実際それなりに天才の少年です。
「……まァよォ。
流石にこンだけブッ込まれたら、イヤでも出来るようになるわなァ」 !?
何故か威圧するように答える身長180cmくらいの金髪5分刈りの不良少年。
彼の名前は、小犬丸南。
戦闘能力の高い、脳筋不良です。
「でもでも、夏休みは受験の天王山!
気を抜かないで乗り越えて、みんなで鷹臨高校に受かろうね!!」
可愛らしい事を言って手でグッと握り拳を作っている身長190cm位の黒髪長髪の大女。
彼女の名前は、驢馬塚北。
霊感のある、オカルト女子です。
彼らは去年の夏、『ブレーメンの屠殺場』というデスゲーム空間を潜り抜けた面々でした。
通常であれば接点すらないであろう彼らは、その空間から抜けた後も、こうして時々一緒に遊んだりするようになっていたのです。
……あ、ご挨拶が遅れましたね。
お久しぶりの方はお久しぶりです。
はじめましての方は、はじめまして。
私は前回、彼ら4人を『ブレーメンの屠殺場』に送り込んだ張本人。
ニッケルさん、と申します。
以後、お見知りおきくださいね。
「ところで。
……西さんは、どうしました?」
鶏の少年が、怒りを噛み殺したように言います。
「流石はクソ猫。
野良みてェに自由だなァ。
つか、アイツだけ落ちたら面白ェけどよォ~」
犬の少年が、ニヤニヤと笑っています。
そうです。
『ブレーメンの屠殺場』を潜り抜けたのは、合計で4人。
もう1人、いるのです。
その少女の名は、猫屋敷西。
人を誹謗中傷するのが好きな、煽り系女子です。
「えーっと、実は。
こんなメールを貰いました」
驢馬の少女が、おずおずと自身の携帯を2人に見せます。
メールの内容は、こうでした。
『7不思議が私を呼んでいるので帰ります☆ミ』
「「「……あのアホ猫め」」」
全員の声が、被りました。