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ハーメルンの音楽祭  作者: NiO
201号室:金次郎舟
23/46

桃太郎さん

 お久しぶりです~。

 覚えてる?

 時刻は午前1時前。


 場所は201号室の前。


「次は、どの7不思議なんですかあ~?」


 『おとな』の少女が、馬鹿にしたかのように『ふえふき』の壮年に声をかけます。

 少女は壮年に、何かしら怪しい匂いを感じているみたいです。

 壮年が面倒臭そうに頭を掻いていると、全然違う方向から、答えが飛んできました。


「『きんじろうぶね』!」


 その質問に答えたのは……『ねずみ』の小児でした。


「……だろ?」


「……まあ、そう……だな」


 得意そうな小児の頭をポンポンと叩きながら。

 何故か壮年も得意そうに頷いています。


「……え?

 な、なんでわかるの?」


「自分で考え……ろ」


 壮年はそういったきり、扉が緑色に変化するのを待っています。  


 『おとな』の少女は、どうして小児が次の怪異を予想できたのか、考えようとします。

 が。

 どうしても、次にくる化け物が頭をよぎってしまい、考えがまとまりません。


 次に来る化け物。


 金次郎舟(・・・・)


 なんというか、7不思議の中では、地味です。

 無差別に人間を殺すだけの存在ですからね。


「……あれ?

 よく考えたら、『金次郎舟』って、結構ヤバい奴じゃね?」


 少女は、今更気が付いたかのように呟きます。

 無差別に殺すだけの(・・・・・・・・・)存在(・・)

 それって、キャラは立っていませんが。

 圧倒的に(・・・・)危ない奴だと(・・・・・・)、今更気が付いたようです。


 そう。

 ブレーメンの屠殺場で例えて言えば。

 その、モナリザの様な(・・・・・・・)……。


「分かれば良い……行……くぞ」


 扉が緑色に変化し。

 壮年が、扉を開きます。



 扉の先には……。



 公園が(・・・)ありました(・・・・・)


#####################################


 公園の真ん中には、水の出ていない噴水があり。


 そして、その中央に鎮座するのは、勿論(・・)




 我らが(・・・)二宮金次郎像(・・・・・・)なのでした(・・・・・)



「……あれが、金次郎舟……」


 『かたりべ』の中年が、ごくりと唾をのみます。


あれ(・・)だいぶ(・・・)ヤバいねえ(・・・・・)


 『こども』の老女が、苦笑いしています。


「うう」


 『ねずみ』の小児が、怖気づいたような声を出しています。


 そして、いつものように。


 ♪ぴろり~ん♪



 メールが(・・・・)届きました(・・・・・)




『「桃太郎さん、桃太郎さん、お腰につけたきびだんご、1つ私達に下さいな」


 黍団子は4つ。

 仲間は、桃太郎さんと、犬さんと、猿さんと、雉さんと、お姫様の5人。


 さて、5人で4個のきびだんごを均等に分けるには、包丁を最低何回使えばいいでしょうか』


 ふと、気が付くと。


 噴水の脇に、4つの泥団子がおいてあります。


 これで、団子を分けろと言うのでしょう。


「4つの団子を、5等分……か」


「普通に考えると。

 等分するならば、かなりの回数切らないといけませんが」


「多分、前の、煎餅の時みたいに抜け道的な物があるんだろうねえ」


 各々が、そんな言葉をぽつりぽつりと呟いていると。




 ごぼごぼ(・・・・)ごぼぉぉぉおお(・・・・・・・)



「「「「「 ……は? 」」」」」




 噴水の池から。

 何やら、不穏な音が(・・・・・)、聞こえ始めました。


「噴水池の水が、抜けている?」


「う、うそ?」


 そうです。

 金次郎を留めて置くための防波堤。

 池の水が、恐ろしい早さで減っているのです!


「みなさん、うろたえないでください!

 大体、予想はついていたでしょう!」


 『かたりべ』の中年が声をあげます。

 確かにそうです。

 ここまで来て、『金次郎舟』が動き出さない、わけがない(・・・・・)


「そうだよ、さっさと答えを見つけないとねえ」


 『こども』の老女の声かけに、皆は取り敢えず落ち着きました。

 各々は、取り敢えずなぞなぞに取り掛かることにしたようです。


「4個を、5等分?」



「ちょっと……コレ、無理じゃない?」


 じりじりと、時間だけが過ぎていきます。

 池の水面が、どんどん下がる中。


 ごぎぎぎぎぎぎいいい(・・・・・・・・・・)


 金属が鈍く捻じれる様な音が、しました。





 ……さあて、ここで問題です。


 池から水がなくなると。

 どうなると思います(・・・・・・・・・)


 答えは、ええっと、そうですねぇ。



 まあ、誰かの言葉を貸して頂くと。






 ……リア充(・・・)爆発(・・)です(・・)

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