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ハーメルンの音楽祭  作者: NiO
102号室:スイム
14/46

おせんべ焼けたかな

※注・最初は全然別のなぞなぞだったんですが、意外にも歌に著作権が残っていたので急遽変更しますた

 時刻は21時、場所は【102】号室の、緑色の(・・・)扉の前。


 ドアを潜ると、そこは……。



 ……真夜中の(・・・・)市民プールでした(・・・・・・・・)



「……スイムさん、でしょうね」


 『かたりべ』の中年が呟きます。


 そこに部屋がないことには、もはや誰も驚いていない様ですね。



「さて、今度はどんななぞなぞ、なんだろうねぇ」


 『こども』の老女が言うか言わないかのうちに。


 ♪ぴろり~ん♪



 ……メールの音が、聞こえました。


 皆さんがメールをのぞき込むと。

 そこには、こんな文章が、ありました。



『おせんべ焼けたかな。


 焼けたら8人で分けちゃおう。


 包丁で何回切ったら、分けられるかな。


 おせんべは変わった形はしていないし、包丁も変わった形はしていないよ。


 切ったせんべいを重ねたりも、なしだよ』





「煎餅を、分ける……のか」


 『ふえふき』の壮年が、考え込みながら言いました。


「せんべいって、食べ物なの?」


 『ねずみ』の小児の言葉に、一同が驚きの声をあげました。


「『ねずみ』くんは、煎餅を見たこと、ないのかねえ」


「あ、ううん!

 絵では見たことあるけど、食べ物って思わなかった。

 あの、丸くて茶色いヤツだよね」


 『ねずみ』の小児は手で(ボール)の様な形を作ります。

 実際はもちろん、平べったいのですが……。

 まだ3歳なので、本物の煎餅を見たことがないみたいです。


「あ、まあ、そんな感じ、そんな感じ」


 面倒くさくなった猫の少女が、相槌を打ちました。

 今、『ねずみ』の小児に割いている時間はないと判断したのでしょう。


「それで、答えのコースを泳げば良いんですかね?」


 『かたりべ』の中年の声を聞いて。



「あ~あ。

 わかったよ、答え。



 3回だ(・・・)


 『おとな』の少女、こと、猫の少女が声をあげました。


「お、おお。

 早いですね。


 それにしても、4回未満の答えなんてあるんですか?」


 他の皆さんも、興味津々に『おとな』の少女を見ています。

 少女は得意げに胸を張ると、声を大にして言いました。


「いや、正直、答え分からないよ?

 でもね。


 ここが市民プールで。

 スイムさんが出るのが第3コースなら。


 そりゃあもう、答えは『3』以外にありえないんだよ!」


「……なんだそりゃ……何を根拠に」


「私はこの前、同じようなデスゲームに巻き込まれたの」


 周りの空気が、少しだけ変わります。


「デスゲームの首謀者は、完全な愉快犯で。

 面白さで全てを語るようなヤツだった。


 そう、面白ければ。


 全員助かろうが……全滅しようが(・・・・・・)



 にこにこ(・・・・)笑ってるような(・・・・・・・)ヤツだった(・・・・・)」 


 少女は、語ります。


 大マジです。


「はぁ……。

 いいですか、『おとな』のお姉さん。

 平面を線で分割しようとしますよね」


 『かたりべ』の中年が、その辺から棒を拾ってくると。

 プールのはずれの土がむき出しになったところへ行き、線を1本書きました。 


「1本の線で分割できる最大の個数は、当然2つまで、です。

 同じように……」


 再度がりがりと、地面に線を引きます。


「2本の線で分割できる最大の個数は、4つです。

 そして、3本の線では……」


 3角形を作るように線を3本引くと、中年は言いました。

 

「1,2,3,4,5,6,7。

 最大でも、7つ。


 これはつまり。

 均等という条件を無視したとしても、3回で8つに切ることは出来ないんです(・・・・・・・)!」


「おじさんが何と言おうと、答えは『3』だよ」


「あのねぇ」


「例えこの問題が『1たす1は、なんでしょう?』だったとしても。



 ……私は(・・)3を(・・)選ぶ(・・)


「……馬鹿馬鹿しい。

 これは、4以外にない……だろ」


 『ふえふき』の壮年が、ぼそりと呟いて『かたりべ』の中年の肩を持ちました。


「私は、『おとな』のお嬢ちゃんに1票」


 『こども』の老女は、『おとな』の少女に賛成します。



 そして。


 もちろん、多数決というわけではありませんが。



 『ねずみ』の小児に視線が集まります。


 小児は少しだけ戸惑ったあと。



「お、俺は、『3回』だと、思う」



 小児は、猫の少女に1票入れたのでした。



「……『こども』のお婆さんが選んだ方、ということですか?


 そんな事で、こんな大事な決断をしては……」


「ううん、違うよ!」


 中年の言葉に、小児は否を唱えます。


「出来るんだもん、分かったんだもん。

 おせんべいを(・・・・・・)3回切って(・・・・・)



 ……8個に分ける(・・・・・・)方法(・・)

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