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刹那小夜
刹那小夜、女、魔術師。
何がどーなってんのか、よくわかってねーのが実際だ。
オレが覚えている範囲では、ふらっと遭遇した夜笠夜重ってクソ女と、挨拶気分で戦闘になって――片足を喰われた。いや腹の中に入れたのかどうかまでは確認してねーけど。んで、誰かに逢った気がするんだが、それが吸血種ってやつだったわけだ。
いやな、えらく素直に従ったと思うかもしれねーけど、ベルは本気で不味い。ありゃオレらの棲家くらい、あっさり吹っ飛ばすだけの力がある。その上、その力を〝使わない〟って辺りが、どうも負けた気分にさせられた。ついでに言えば、クソッタレな笑みを浮かべてたイヅナって野郎も、同類だ。
同類――としか、今のオレには見えなかった。
晴れてオレは刹那小夜として生きて行くことになったわけだ。〝瞬刹〟と呼ばれてたオレは、まあなんだ、ここから新しく初めて行くってことか……。
だからってなんで軍部に放り投げられたのかは、よくわかってねーよ。




