椿青葉
椿青葉、女、魔法師。
魔法師は覚醒するものだ、なんてことを私は実感したわけだが、もしもヴォイドに出逢っていなければ、もっと混乱していたのだろうとは思う。だからといって感謝はしていないし、文句もあるにはあるのだが、そのぶんは公人が助けてくれたので、黙っておこう。
当時のことを思い返すのなら、蒼の草原と呼ばれる大きな貯水池のある公園において、私は魔法師としての役目を担ったことが印象的だ。といっても、私は対抗措置として、その場に存在するだけで良かったので、何もしなかったのと同じだ。
意味の含有、それが私の魔法である。
〝三大意味〟なんて揶揄されることもあるが、つまるところ意味の奪い合いが、二人の魔法師の間で発生した場合、三人目である私の介入によって、その効力を喪失させる、という役目だ。
つまるところ、この時期における私もまた、魔法師になる前の椿青葉と、何ら変わらないものだったのだろう。ただし、環境そのものは変わったけれど。
楽しかったと、そう思う。
公人に惚れたのも間違いじゃないと思うし、幸せをかみしめていたのも事実。
――ただ。
ヴォイドが消えることは、やり残したことばかりの自分が少し、許せなかった。