箕鶴来狼牙
箕鶴来狼牙、男、魔法師。
そういえば、当時はまだ、スーツで大きなつばの帽子を頭に乗せていましたね。
雪芽の弟の立ち位置であり、血の繋がりはありませんが、非常に頭の痛い姉です。思えば、姉さんの愚痴をよく公人に聞いて貰っていた記憶が蘇ってくるほど、頻繁にやっていたのでしょう。
縁の魔法師。
世界における、人と人との縁を確定させるための存在、とでも呼べばいいのでしょうか。実際には、世界がそれを行っていて、私がそれを再確認しつつ、補助をしています。いわば二重確認のようなものですね。
だから私の行動における七割は、各地を放浪しています。人と逢うこと、人の関係を見ること、それ自体が仕事のようなものです。
だからこそ、フェイクの歪さには驚きました。もちろん、友人であると胸を張って言える関係でしたが、魔法師とは呼べず、魔術師でもない彼女の存在は、少なからず私の今後に影響を与えてくれました。
東京事変の一角を担うかたちで動いたのは、いわばその恩返しのようなものですね。やってくれ、なんて頼まない人ですから、察して動かなくてはならなかったですが。
ハジマリの五人? その一人として数えられているのは確かですが、私に言わせれば、ハジマリは一人、フェイクだけですよ。少なくとも私は、彼女がわからなかった。