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2008年~2026年における粗筋
ハジマリの五人と呼ばれるようになる、嵯峨公人、姫琴雪芽、箕鶴来狼牙、椿青葉、名無しの少女が、一堂に会する。
魔法師の誕生、ないし覚醒が発生した最初の時期でもある。
この期間において、語られていない部分も含め、多くの魔法師が誕生した。
世界法則を人間が担い、強化するからこその魔法師であるのならば、世界という器そのものが脆くなってきた証左でもあり、その結果として〝東京事変〟が起きてしまう。
もっとも、本来ならば世界全体で発生するはずの異変を、名無しの少女の手腕によって、東京のみに凝縮した、というのが結末だ。それ以外に手はなかったとされている。
東京事変後は、彼らはそれぞれの道を歩き始めたが、名無しの少女が亡くなった際、傍にいることは適わなかった。
夏に雪が降った、それを視認できた者もまた、それほど多くはない。
ただその日から、深夜帯に空を見上げれば、小さな紅月が見えるようになる。
まるで何かの、兆しのように。