いきなりキスはないでしょう。
うーんがっ…
…女とは思えない声を出してしまった…でもさ〜もういいんだよね〜…だってどうせ私を見てくれる人だっていないんだもん。なんで女に産まれたのだろう?女は男より痛いこと多いし力だって弱い。なんで女なんかに産まれたのかなぁ…。私なんて死んじゃえばいいのに…
ダメだな…暗くなっちゃう。もっと笑って元気にしなきゃいけないから。うん。泣く暇があるならもっと違うことしよう‼︎
そうだ‼︎久しぶりにあの公園行くか‼︎あの…
ん?うわぁ⁉︎空が真っ暗だよ。今何時?3時でこの暗さ‼︎
ってこんなこと考えてるうちに雨降ってきたよ‼︎どうしよ…蒼さんの家から出て行ったから持ち物持ってないし…前暮らしていた部屋は蒼さんの家に住んでたからもう…
ってうがーーーーもっと明るいこと考えよう‼︎
そういえば私がきた公園に雨宿りしてるんだけど、ここ前に蒼さんと会ったとこなんだよねー…。なんで喧嘩なんてしちゃったんだろ…私が嫉妬みたいなことしちゃったから?はぁ…ってあ"あ"あ"あ"あ"あ"またもや暗くなった…もっと明るい話しよう。そうだそれがいい。
**
ぼーっといろいろ考えてるうちに雨止むかな〜って思ってたけど全然止まないし‼︎もう公園にある時計は6時になってるし‼︎もうヤダ…
やっぱり喧嘩したのは私が悪かったからだと思う。私が蒼さんをいつの間にか好きになっていて、蒼さんがかっこいいから女の子に喋りかけられてるのに嫉妬して、私が一方的に怒って勝手に出て行っただけ。私が悪いんだ。はっ⁉︎今思えば私、蒼さんのこと好きだったんだ。うん。それだけです。自己完結。はい、もう諦めよう。そうすれば次は喧嘩しないでいい。うん。私、頭いいな〜…
はぁ…今日大学休んじゃったなーあーあー…
うん………………帰ろう。それがいい。
**
ふんふん。
ガチャ
「ただいまです。すみませんでした」
あっれ〜?何時もならすぐ返事をくれるのですけどね?
ん?いないですね〜?外に買い物でも行ってるのでしょうか?ごはんでも作って待っときましょうか。
**
〜?帰って来ませんね。どうしたのでしょうか?電話でもかけてみましょうか。
2コールで出ました。早いです。
「あの『どこにいるんだよ‼︎』…家です」
『…はぁ、ちょっと待っててすぐ帰るから』
「あっ、はい」
すぐ帰るならごはん温めて用意しよう。
**
「ただいま〜」
本当にすぐ帰ってきました。15分くらいで帰ってきたので早い方なんでしょうか?早いほうですよね。しかし、恋心を隠したままで大丈夫なのかな…って何?恋心なんてないから‼︎うん………………きっと
「お帰りなさいです」
「はぁ…」
ほらぁ…勝手に出て行って勝手に帰ってきたから呆れてるよーー
「すみません。帰りますから…」呆れてほしくない…
「はぁ?どこに帰るの?どこも行く当てないんじゃないの?」
「えっと…実家とか」
「とかって何?意味わかんない」
怒ってる…やっぱり帰ってきたから?
「あの、ごはん食べませんか?話ながらでもいいので」
「無理、今すぐ話す」
ごはんいらないのかな…こんな勝手な女が作ったごはん食べたくないのかな?
「ごはん…」
「はぁ…」
やっぱりごはんごはん言ってるからまた呆れてるよ…
「すみませんでした」
「こんな時間までどこに行ってたの?探したんだよ」
迷惑かけたから。怒ってる…私が勝手に住み着いて勝手に怒って勝手に出ていったから怒ってないはずがないよ…
「…」
「無言突き通すの?なんか喋れば」
視界が滲んできてる…ダメだ。私が泣いても意味ないよ。悪いのは私だもん。
「すみません…」
「もういいから…はぁ…」
呆れちゃったよ…私が悪いから…
泣いちゃダメだ。泣くな私…
「ふっ…う…」
泣くな泣くな。
「すみませんでした」
そういって財布だけもって出ていった。これでいいんだ。早く早く行かなきゃ…
**
もう人がほとんどいない電車の中に私はいた。これからどこに行こうか?
帰る場所なんてないから…
そういえばここの電車っていつも遊びに行く時の電車だ。やはり無意識のうちに乗ったのかな?なら、あの子の家に行こう。
**
ピンポーン
「はーい、ってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇど、どうしたの?」
「あのですね、私が勝手に出て行って…うぇ、うっ…」
「うわわ。まぁ、入ってよ。遥ちゃん」
「ごめんね。麻結ちゃん…」
**
「そんなこんなでここに …」
「そいつ酷いね〜…まぁ、遥ちゃんももっと話聞かないとね〜…」
そうです。私が悪いから…
「私が、ヒック…悪いからなんです」
「…遥ちゃんはもっとも自信持ちな〜?だって遥ちゃんは凄いんだよ‼︎誰とでも仲良くなれるしいい子だし」
「でも、「でももそのもあのでもないの‼︎人には悪いとこもあれば良いところだってあるんだよ?悪いとこだけが全てではないんだからね?」……そうなのですか?」
「うん‼︎例えば運動不足で馬鹿で腐女子でダメダメな奴だってそれはそれで運動不足だけど肌が白くて綺麗だし馬鹿でも明るくて周りを明るくしてくれるしどんなにダメダメでもさそこが良いんだよ」
そういって笑ってるのは私の友達の麻結さん。
「それって柚月じゃん」
「うん」
上が麻結さんの弟の真弓さん。下が麻結さんの妹の麻兎さん。
「ねぇ?遥さん自分を責めてほしくないよ?遥さんがダメダメなら私だってダメダメだよ?」
「ならば俺は麻兎よりダメダメだから遥先輩よりもダメダメだよ」
「そうね」
私のいいところなんてあるのかなぁ?ダメダメだけどね…
「遥ちゃんのいいところは一途で優しくて強くてとっても良いんだよ‼︎」
そうなのかな?
「だからもっと自信持ちなさい」
「そうですよ。遥さんどうぞこれ」
麻兎さんが渡してくれたのはホットココアと冷たいタオル
「目腫れてますよ?」
それはやばい。
「ありがとうございます」
そういってタオルを目に当てながらココアを飲むのは大変だった。そうすると麻結さんがタオルを当ててくれたのでココアをちゃんと持てた。
「最近学校で〜…」
そんな変哲もない日常の話でもココアのせいか心が温かくなった。
あっ、そういえば麻兎さんも真弓さんも学校私たちの母校ではないか
学校はどうなったのだろうか?
「柚月呼んでるけど遅いね〜…」
ここここんな夜中に⁉︎
「チャリですぐ行く〜って言ってたのにね〜…」
そっか〜私がこんな時間に麻結さんの家に来たのにみんな気にしてないし…ありがたいなぁ…
「ちょっとストーカー止めてよ」
「お前の家に遥いなかったからもう一人の家行こうと思ったけど場所わからないからついてきただけだから⁉︎」
見知った声が聞こえる…この声は
「あいつと知らない奴うるさいな〜真弓ーちょっとドアで柚月呼んで〜」
「ok」
なんで蒼さんが…?
ドカッ
「ちょっと〜?」
誰かが殴られた音?もしかして蒼さんが?
急いで麻結さんと玄関に行くとそこにはお腹をおさえている蒼さんと呆れた顔の柚月さんと真顔の真弓さん。
「どうしたんですか?」
「話聞く前にみんな入りたまえ」
そんな麻結さんの一言でみんな家に入った。
*
「あの男が遥先輩のなんなんだ〜って感じに殴られそうになったから正当防衛?で」
「はぁ…」
ううっ…私のせいだ。
「まず、話し合う方がいいと思うから私たち2階行くね?もし辛くなったらすぐ上に上がるか呼んでくれればすぐ行くから」
そう言い残して4人は2階に行ってしまった…
蒼さんと二人っきりとか気まずい…ううっ…どうしよう?
話すこと話すこと〜…
「ごめん…」
「え?いやあの私が勝手にいろいろしたから私が悪いんですよ」
「いや、俺が強く言ったから…ちゃんと理解してたらよかったんだ」
「いやいや私が勝手に…」
「本当は、本当はな?俺が心配してたっていえばよかったんだ。なのに言えなくて」
えっと…?心配してくれてたんですか。うんうんそうですか。ならもう全て言って砕けてしまおう。
一緒に住めなくなったら麻結さんのところか柚月さんのところに住ませてもらおう。
「実は、私が蒼さんと女の子が喋ってるとこ見て嫉妬してで一方的に怒ってしまって勝手に出ていったのですけど」
「それってどういうこと?」
それの気持ちはきっと…
「好きということですかね」
「ん?それで俺とどうなりたいの?」
「どうもこうも好きってだけですから」
そうすると蒼さんはあからさまにがっかりしたようになった。
「やっぱり俺が言わなきゃダメだよね〜…」
「はい?」
なんの話ですか?
「俺は遥が好きだよ。結婚したいぐらい」
「何人にその言葉言ったことありますか?」
「一人に決まってんじゃん」
ん?ってことは
「蒼さんって既婚者?」
いや、それなら私を家にあげてる時点でやばいな…
「あーもー遥だけだから‼︎今言ったじゃん⁉︎」
え?わたわた私?ないないないでしょ
「好き」
「〜っ」
今、顔真っ赤だよ。あーあー手で隠すよ〜もちろん
「何隠してるの?」
ううっ、手を取るなやめろぅ
「可愛いっ」
「顔近ずけないでーーやめれーー」
そのお綺麗な顔を近ずけないでよー
「助けてーーー」
「どーした〜…って私の遥ちゃんにそういうことやめろよ〜」
麻結さんが助けてくれた。ありがたや〜
「チッ、家帰ろっか?遥」
「きぃー遥ちゃんが〜」
「あっ、ありがとうございました。麻結さん大好きです」
恥ずかしいけど大好きだからいいんです。
「妬いちゃうよ…」
焼く?何を?
**
「結婚しよう」
はぁ⁉︎家に帰ってきたらすぐに蒼さんがプロポーズしてきた。意味がわからん。
「付き合ってもないのに?」
「え?今、付き合ってないの?」
「え?」
「え?」
付き合ってたの…?
「じゃあ、付き合ってください」
「おねが………………んっ、やめ…ふっ…」
いきなりキスはないでしょう。