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香り

作者: 巡理

去年、女手一つで俺と弟を育ててくれた母親が、

不慮の事故で亡くなった。


原因は、相手の車の脇見運転だった。


当時弟は小学六年生、俺は24歳で

翌月結婚する予定だった。


ちなみに父親は弟が生まれてすぐ、

病気で死んでんだ。


母親の葬儀の翌月、予定通り結婚式を挙げ、

中学生になった弟と嫁の三人で暮らし始めたんだ。


それでさ、一年ちょっと過ぎて、

昨日の晩のことなんだがな。


いつもどおりに家に帰ったら、

まず目に付いたのは弟の小さな背中だったんだ。


なんだ?と思って見てみたら、

どうやら俺の嫁の膝にすがり付いて泣いてる様なんだよ。


嫁がさ、困った顔して弟の背中撫でてやってて、

俺に気付いたら小さな声で、


学校から帰ってきてからずっとなの…どうかしたのかな?


ってゆうわけ。


弟は、母親が亡くなった時以来全く泣いたり

辛そうな素振りを見せなかったんだ。


だから余計、何があったのかって不安になった。


それでさ、弟に話しかけようと近づいてハッとした。


今日、香水つけてる?


嫁に聞いたら、


百貨店にあったお試し品をちょこっとね、ごめん、きついかな?


ってゆうんだ。俺も嫁に縋ってちょっと泣いちゃったよ。


一年も過ぎてんのに、体は覚えてるもんなんだな。


すげぇよ、人って。



それさ、俺らの母さんがずっと使ってた香水。


母さんの、匂いがしたんだ。

こんばんは。

実は、私、すごく鼻がいいんですよね。

中学の頃の友達を、匂いで識別できるくらい。

犬かよと。

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