表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/10

抜け出せない泥沼

結局彼女と一緒に登校してしまい、もちろんクラスメイトからは変な目線を向けられる。そう、僕は生まれ変わって、ぼっちを辞めたのさ…なんてわけではない!!苦肉の策というやつだろうか、いや、何日かたってまた一人になれば周りもやっぱりなとなってくれるだろう。少しの我慢だ。少しだけ。ここはハッキリと彼女に伝えておこう

「あんまり校内で話しかけないでほしいです」

「なんでですか?」

「いや…」

ここは迷惑だとハッキリ伝えるべきだろうか…。

「わかりました!恥ずかしいですもんね!」

いや、そういうことでは…。いや、まぁなんでもいい。これで話しかけてくれないだろう。これで今日は一安心だ。教室にも着いたしゆっくり借りたCDを聞いて今日は心を落ち着かせよう。


何度聞いてもこのバンドは素敵だ。朝からずっと繰り返し聞いているが何度でも聞ける。今日は朝からこれを聞いているお陰でクラスメイトは避けてくれるし、もちろんやつも話しかけてこない。素晴らしい。こんな日常がずっと続けばそれが一番いい。さて、もう今日も残りの授業は一つだけだ。このままCDを聞いて終えよう。

僕は寝たふりをしながら授業中もずっとCDを聞いていた。

「おい」

と言って肩を叩かれ、目の前を見ると教師が立っていた。

「寝てるんじゃない、起きろ。」

「ああ、はい」

「ん?お前そのイヤホンはなんだ?」

「ああ、はい」

「お前寝たふりしながら音楽でも聞いてたんだろ?ほら、貸してみろ」

何て事だ、僕の時間を脅かすやつがここにもいたとは。放っておいてくれよ。

「これは没収だな、授業終わったら職員室まで来い」

まぁいいだろう、説教されて返してもらって終わりだろう、面倒だが仕方ない。

「あの!先生!」

彼女が立ち上がった。

おいおい、余計な事を言うんじゃないだろうな。やめてくれ、変な正義感を出すんじゃないだろうな。

「それ私がさっきどうしても聞いて欲しくて貸したんです。すぐ聞いてって無理言っちゃったから。」

何を余計な事を!しかも捏造じゃないか!それは2人が仲良しなんですよって周りに言ってるようなもんじゃないか!何をみんなの前でそんなことを!ここで、僕が、いや僕が悪いんです!なんて言うものなら、それこそ仲良いですアピールをしてるようなもんじゃないか、だがしかしここで、そうなんですと答えればクラスメイトからあいつは最低だのなんだの言われ…。いやいや、もうこの際クラスメイトからの評価なんてどうでもいい。どうせ関わらず生きていく人間達だ。

「そうなのか?」

「そうっす。さっき借りました。」

「そうか、よし、とりあえず授業終わったら二人揃って職員室まで来い。それまでは没収だ」

なんで二人揃ってなんだよ教師よ!それでもあなたは教師なのか!そうなってしまえば自然と帰り一緒になってしまうじゃないか。教師よ!今日からあなたも敵だ!


というわけで…放課後になり職員室へと向かった。もちろん彼女も一緒に。

「なんかごめんなさい、私のせいで。」

いや、なにも悪くないというかむしろあそこで余計なつっこみを入れたのが悪いところだ。そこを反省してほしい。もう知らん。放置です。

「やっぱ怒ってます…?」

いやまぁなんとでも思ってくれて構わない。疲れてきた。

無言のまま職員室へと入り、教師のところへ向かった。

「えっと、まずじゃあ先にこれを返そう。次からこういうことはないように。」

さて、返してもらったし早く帰るか。

「はい、でわ」

「待て待て。まだ話は終わってないぞ」

なんだなんだ、面倒な話はごめんだ。

「瀬戸さんね、転校したばかりで友達作りで仲良くするのはいいけど、あまりこういうのは良くないかな、気をつけよう」

「はい、すいませんでした」

「でもまぁこいつは前から誰とも話さないやつだから、こんな風に誰かと仲良くしてるのは今までじゃ考えられなかった事だから。どうにかみんなと話したり仲良くしたり輪に入るようにならないかと思ってたから、そこの点に関しては瀬戸さんには感謝だな。こいつもやっと話せる友達が出来たって事かな、こいつの事これからもよろしくな、でも今日みたいな事はないようにしよう、終了!」

「はい!」

いや、はいじゃないんですよ、何でそう話しがまとまるんだ。お節介なんですよ、これからもよろしくなんてしなくていいんですよ。別にみんなの輪に入りたいわけでもないし。何故そんな考えを今言ってしまったんだろうこの教師は。勘弁して下さい。

「よかったな」

肩をポンッとされた…。

いや、何も良くないんですよ。むしろ悪い方向に話が向かってるんですよ。教師ならば個々の個性を伸ばす教育方針にするのはどうだろうかと僕は問いかけたい。

肩を落として職員室を出た。

「よろしくされちゃいましたね!」

何を目を光らせて言っているんだ、僕は何もうれしくない。

「じゃあ、あらためてよろしく!」

手を差し出されたがこれは握手とかいうやつか。いや、しません。帰ります。

「握手!してくださいよ!」

いや、帰ります。

「もう…。じゃあ一緒に帰りましょ!」

どんなやり方をしてもひっついてくるし、むしろ勢いまで与えてしまった。もう抜け出せない。このまま僕の理想の人生は終わってしまうのだろうか…


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ